Only You (ページ5)

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桃side

ふと我に返ったときには既に遅し、人気のない場所へ連れてきてしまった

でも文句言うでもなく何一つ言葉を発さないでついてきたモサ男

ずっとつかんでいた腕を放し距離を取る

桃「勝手に連れてきてしもてごめん」

青「……」

桃「気づいたら体が勝手に動いてたというか、なんというか」

青「…………」

私がさっきまで掴んどった腕のところを永遠に触っていながら、うんともすんとも言わない

ましてや前髪が重すぎて表情だって読めやせん

勝手に連れてきたんは申し訳ないけど、ホンマに何なんやこいつ

始めは取り繕って優しく話しかけてたけど、なんも反応を示さない男にイライラがたまっていく

桃「はーっ。ごめんてゆうてるやんか。なんでなんも反応せんの？
　悪いのはこっちやけど、さすがに対応悪すぎやろ」

いいすぎた

けどやっと返ってきた反応は

青「そっちの方がおもろくてええと思うけどな」

それとほぼ同時に5限が始まる前の予鈴が鳴るとスタスタと歩いて行ってしまった

桃「…！？」

え？今こっちの方が面白いってゆうた？

何やこいつ

どんな思いでかわいくしてきたと思ってるんや

重ための前髪の間からようやく合った目はまっすぐでとても綺麗やった

ドキッ

桃「……？」

胸に感じた違和感にはまだ名前を付けないでおこう

私も急いで授業へ向かった

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