有耶無耶 ページ10
｢なあなあ真宵ー、昨日の雨すごかったよなー。｣
｢だよね〜。お陰で今日は猛暑日だよ…。湿気もすごいしね。まだ6月なのに……。｣
季節外れな猛暑に耐えかねて、私と1ごうは案内所前のベンチに腰をかけ棒アイスを食しながら駄弁っていた。｢今日は暑いでしょうから｣と、しずえさんが気を利かせて箱ごと購入してきてくれたらしい。スッキリとした甘い果実の風味と、咀嚼する度にシャリシャリと音をたてるサラッとした優雅な味わい。火照った体にひんやりと染み渡るようだ。遠くの方には、汗水を垂らしながらせかせかと働くまめつぶ兄弟の姿が見える。熱中症になったりしないのだろうか、と時々心配になるが、たぬきちさんがしょっちゅう様子を見に行ってくれているらしい。案外あの人も、面倒見がいいのだ。
｢てか、家の電気ついてなかったけど……まさかオマエ、あの土砂降りの中どっか出かけてたのかー？！｣
｢あ…バレちゃった？天気予報見てなくて、傘も持たずに散歩してたからびしょ濡れになっちゃって……。｣
｢ハハッ、災難だったなー！風邪とか大丈夫か？｣
｢うん、幸いバンタムさんが家に入れてくれたから……。｣
｢あー……バンタムってアイツか、最近引っ越してきた新入り。ふーん、アイツがオマエをねぇ…。｣
1ごうの表情に影が差した。
｢えっ？あぁ、まあそうだけど……。それがどうしたの？｣
｢いや、なんでもない。なぁ、ちょっと散歩しようぜ。｣
｢あ、いいね。じゃあ行こっか。｣
私はベンチから立ち上がり、1ごうと並んで歩き始めた。普段の様子を見る限り1ごうはもう少しキビキビと歩くタイプなのだと思うが、私と歩く時は何となく歩幅を合わせてゆっくり歩いてくれているような気がする。声に出さずとも伝わる優しさが、1ごうの長所なのだ。
「んー、やっぱ川の近くって涼しいよな。」
「そうだねー、この辺に家建てて正解だっ……た…」
言い終わるや否や、視界が一回転して足元がふらつく。
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山ノ花 禊(元リャナ)(プロフ) - 最近この小説を見かけてはまった者です、更新再開嬉しいです！ (1月22日 22時) (
レス) @page17 id: 3f96a70ccb (このIDを非表示/違反報告)
新世界(プロフ) - うちゅうじんもどきさん» 返信本当に遅くなりました！申し訳ないです！語彙力を失うほど好きになってくれて嬉しいです！ (1月22日 18時) (レス) id: 64837ede78 (このIDを非表示/違反報告)
新世界(プロフ) - MAREさん» 3年越しの返信になってしまい申し訳ないです！ありがとうございます！ (1月22日 18時) (レス) id: 64837ede78 (このIDを非表示/違反報告)
うちゅうじんもどき(プロフ) - うへぇあ……えええええ……いやもう、ほんと……え……っ……すきです……(語彙力) (2021年10月18日 8時) (レス) @page18 id: fabe2279e9 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 面白かったです！更新まってます！ (2021年3月7日 2時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麻酔薬 | 作成日時：2020年5月20日 15時
