五月雨2 ページ8
｢…オメェ、こんな天気に何してるんだ？｣
不意に、優しさを含んだ聞き覚えのある声が聞こえた。見上げると、そこには黒い傘をさしたバンタムさんが立っていた。
｢あ……傘を、忘れてしまって…それで……。｣
恐怖心と安心感で、言葉が上手く出てこない。
涙目になりながら拙い言葉で訴えかける私の頭をわしゃわしゃと撫でて、バンタムさんはフッと微笑んだ。ああ、この人は、こんなにも優しい表情で笑うのだ。
｢あーあー、こんなにびしょびしょになっちまって……。可愛い服が台無しだぜ。ほら、オレの傘を使いな。｣
そう言って傘をさしだすバンタムさん。
｢でも、それじゃあバンタムさんが濡れちゃいます。｣
｢あぁ？オレのこたぁどうだっていいんだよ。それよりオメェは自分の心配をしろ！風邪でもひかれちゃ困るんだよ。｣
｢でも……。｣
｢はぁ……融通のきかねぇヤツだなぁ。ま、そこがオメェの優しいところってか。そんじゃあ、これでいいか？｣
傘を持ったまま、バンタムさんは私の右側に立つ。所謂｢相合傘｣というやつか。濡れないように配慮してくれているのか、少しだけこちら側に傘を傾けてくれているようだ。肩、濡れないのかな。大丈夫なのかな。
｢とりあえずオレの家で雨宿りしていきな。オメェの家に帰るのは雨が止んでからでいいだろ？｣
｢は、はい！ありがとうございます…。｣
雨でぬかるんだ道を二人で並んで歩く。
先程までの震えは、自然と治まっていた。
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山ノ花 禊(元リャナ)(プロフ) - 最近この小説を見かけてはまった者です、更新再開嬉しいです！ (1月22日 22時) (
レス) @page17 id: 3f96a70ccb (このIDを非表示/違反報告)
新世界(プロフ) - うちゅうじんもどきさん» 返信本当に遅くなりました！申し訳ないです！語彙力を失うほど好きになってくれて嬉しいです！ (1月22日 18時) (レス) id: 64837ede78 (このIDを非表示/違反報告)
新世界(プロフ) - MAREさん» 3年越しの返信になってしまい申し訳ないです！ありがとうございます！ (1月22日 18時) (レス) id: 64837ede78 (このIDを非表示/違反報告)
うちゅうじんもどき(プロフ) - うへぇあ……えええええ……いやもう、ほんと……え……っ……すきです……(語彙力) (2021年10月18日 8時) (レス) @page18 id: fabe2279e9 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 面白かったです！更新まってます！ (2021年3月7日 2時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麻酔薬 | 作成日時：2020年5月20日 15時
