2人の短いお話 その2

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2,3ヶ月に1回。
北山は壊れそうになる。

分からない。
何が北山をそうさせてるのか分からないけれど、壊れてしまいそうになるのだ。



その日、突然、デートをドタキャンされた。

体調が悪い、とただそれだけ送られてきた無機質なメールに違和感を覚え、北山のアパートに急いで向かうと、ベットに静かに沈む北山がいた。


熱は無さそう。
あ、もしかしたら食欲は無いのかもしれない。

そう思って北山が寝ている間にお粥を作っていると、ふと後ろに気配を感じた。





「わ、びっくりした…、北山大丈夫？風邪引いた？」
「…何で、いるんだよ」






抑揚のない声。

いつも俺を見るキラキラした二重には、光が宿っていないように暗い。


明らかに様子がおかしい北山の頰を撫でると、今度は涙を零した。





「えっ？だ、大丈夫？気持ち悪い？」
「…俺、もうやだ…」






そう言ってしゃがみ込んで泣きじゃくる北山を、俺はただ抱きしめる事しか出来なかった。





____



次の日になれば、北山は、いつもの北山だった。




「はよー」
「…大丈夫？」
「何が？」
「昨日、なんか…変だったからさ」
「あー、別に気にしないで良いから」




いつもの軽い口調で北山は言うと、大した事じゃない、と付け足した。





「俺ね、昨日みたいにリセットしなきゃ駄目なの」
「リセット？」
「そう。ぜーんぶ辞めたくなる。人間関係とか、決まってる予定とか。俺と繋がってる全部から、消えたくなる」




そうあっけらかんとした態度で言われると、へえ、そうなんだ、と納得してしまいそうになる。




「ちょ、でも、それって、死にたいとか、そう言う事？」
「んー、死にたいとはまた違うんだよな。でも、壊れそうになる。自分の中の色んなものが爆発して、壊れて消えたくなる」






そしてまた数ヶ月経った後、北山の中の何かがまた、北山を苦しめるのだ。



怖い。


いつか北山が、俺の前から突然消えてしまうようで。





「ねえ、北山」
「ん？」
「お願いだから、いなくならないで」




はは、何だよそれ。




そう言って笑う君の隣に、俺はずっとずっと居たい。

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