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「シャワー、ありがと」


風呂から帰ってリビングに戻ると、パタパタ、と洗濯物を畳んでいる恋人が待っていた。


「玉森のシャツにもアイロンかけて大丈夫?」

「あ、お願い。そのシャツ、ここに置いてくわ」


分かった、と慣れた手つきで俺のシャツの皺を伸ばしていく。
俺のシャツをハンガーにかけた後に、次に手を伸ばしたのは、見慣れないハンカチだった。


「そんなハンカチ、持ってた?」


愛用のブランドの物ではなく、いつもとは違うブランドの淡い朱色のハンカチで、俺の質問にガヤさんは、身を固めた。


「き、北山くんのなんだ」

「・・・何でガヤさんが持ってんの?」


嫉妬がむくむくと顔を出す。


「借りただけだよ」

「それは分かってる。何で?いつ?」



きちんとアイロンをかけて、丁寧に折り畳まれたハンカチが、ガヤさんの通勤鞄に収められた。
違う男の物を持っているだけで嫉妬するなんて、何て器の小さい男だろうか。



「・・・玉森がっ」

「俺?」

「玉森が、北山くんに、変なこと言うから・・・!」

「変なこと?」


・・・ああ。あれか。
と、夕方の出来事を思い出した。

別に変なことを言ったつもりはない。
ただ、北山くんが少し危険人物だと思ったから、はっきりと言ったまでだ。


「誰にもあげないよー、って言っただけだよ?」

「そ、それ!何で言ったの?」

「ええ?だって北山くん、ガヤさんのこと好きになりそうだったから。予防線引いとこうかと」


ぱくぱく、と口を開いて顔を真っ赤にする恋人に近付いて、軽くその唇を奪う。


「・・・何で?言われるの嫌だった?」

「違う・・・違うけど」


ガヤさんの高い鼻と、自分の鼻をくっつける。
眼鏡の奥の瞳が、俺の目を見つめて揺れていた。


「・・・俺のせいで、玉森が、何か言われたら、嫌だから」


ぽつり、ぽつり、と出てきた言葉はあまりにも優しくて。自分の嫉妬の醜さに、俺は押し黙ってしまった。


「玉森・・・?」


不安そうに俺を見つめる姿は、初めて抱いた時から何も変わらない。

好きだ、君が好きだ。
全身でそう思う。


眼鏡を奪って、テーブルにそっと置いた。ふっくらとした唇に、さっきよりも激しくキスを交わす。

唇を離すと、物足りないのか無意識に俺を追い掛けてくるガヤさんを、力強く抱きしめた。


「・・・好き」

「へ・・・?」

「何処にも行かないで。ずっと俺の傍にいて」

「・・・っ、行かないよ」



俺の腰に、そっと手が回された。

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たいやき(プロフ) - 藤北目当てで読んだのに、『春』が1番好きで、何度も読み返しています!!あまり玉ガヤのBLは意外と読んだことがなかったので新鮮だったのと、『春』の藤ヶ谷くんがどたいぷすぎました。これからも頑張ってください! (2019年10月13日 1時) (レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まきさん» コメント頂いていたのにお返事遅れてしまい大変申し訳ありません(*_*)! 短編の方で思いついた時にでも書いていこうかと思っておりますので、是非楽しみにしていただけると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2018年10月22日 17時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
まき(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。以前に一回読んで、また読みたくなってしまい、読み返しました。とてもかわいい藤ヶ谷さんを見れて、楽しく読ませて頂いてます。『春』の続編を勝手ながら期待しております。 (2018年9月19日 11時) (レス) id: 0555875bff (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!私の中で藤ヶ谷さんは受けだと思っていて笑 北藤、玉ガヤ大好きなんです笑 そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わたリンさん» コメントありがとうございます!お返事遅れてしまい大変申し訳ありません( ;∀;)!春の続編いつか書きたいと思っておりますので、楽しみにしていてください! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年4月16日 21時

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