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「あれ、たいぴー。背中どうしたの?」
はっしーがそんなことを言うもんだから、皆の視線の先は藤ヶ谷の背中に集まった。
「え、なに?何かなってる?」
本人はどうやら気付いていないようだった。
「なーんか、赤いみみず腫?みたいなのがピーっとなってる」
河合ちゃんが、後ろに立って指を指すと、鏡を背に藤ヶ谷は、自分の背中を確認した。
「たいぴー、もしかして昨日お盛んだった?」
「なっ・・・・」
そこには俺が昨晩付けた爪痕がくっきりと何本も残っていた。
藤ヶ谷は、みるみる真っ赤に染まっていき、急いで衣装に袖を通したが、それは逆に肯定しているようなものだった。
______
やめろ、と何度も抵抗したが、行為が始まってしまえば、俺は藤ヶ谷に抗う術は持っていない。
「やめて・・・、ああっ!!」
「ごめん・・・っ、我慢できない」
余裕の無い藤ヶ谷を見られるのは、俺の特権だと思う。
額に玉の汗を浮かべて、眉間にグッと皺を寄せて、迫る快感に耐えている。
いつもその快感に一方的に溶かされてしまう。
昨日、その快感にわずかな抵抗をした。
爪を切り忘れていて、いつもより少し長めに爪が延びていたのだ。
「やあっ!ンンっ!!」
ギっ!と爪を藤ヶ谷の背中に立てた。
せめてもの抵抗。
お互い舞台やドラマで忙しく、ツアーもあって、本当に久しぶりに肌を重ねた。
やっぱ、気持ちいいなあ。
そんなことを呑気に考えながら、俺は藤ヶ谷に体を預けた。
______
「太輔、おまえ、派手なことするなあ」
「うっせえ!!お前ら早く出てけっ!」
河合ちゃんたちが藤ヶ谷の回りでからかいながら楽屋が一気に騒がしくなると、とっつーだけは、こちらをチラリと見た。
「腰、大丈夫?」
「んあ?すっげーだるい」
「ははっ、お大事に」
とっつーは優しく笑うと、未だに藤ヶ谷を取り囲んでいじる四人に声をかけて、じゃあまたね〜、と部屋を出ていった。
藤ヶ谷はようやく着替え終わって、なんだかげっそりしている。
何やら言いたげにチラチラと見てくるが、3ヶ条が敷かれているので、楽屋は沈黙に包まれたままだった。
内心、ほくそ笑みながら、俺も着替えようと、重い腰をあげて、服を脱ぎ始めた。
コンコンッ
「はい」
俺が返事をすると、ぞろぞろと入ってきたのは今回のツアーのバックについてくれているトラジャのメンバーだった。
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たいやき(プロフ) - 藤北目当てで読んだのに、『春』が1番好きで、何度も読み返しています!!あまり玉ガヤのBLは意外と読んだことがなかったので新鮮だったのと、『春』の藤ヶ谷くんがどたいぷすぎました。これからも頑張ってください! (2019年10月13日 1時) (レス) id: 2edd79c1bf (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - まきさん» コメント頂いていたのにお返事遅れてしまい大変申し訳ありません(*_*)! 短編の方で思いついた時にでも書いていこうかと思っておりますので、是非楽しみにしていただけると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2018年10月22日 17時) (レス) id: 05aff8376d (このIDを非表示/違反報告)
まき(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。以前に一回読んで、また読みたくなってしまい、読み返しました。とてもかわいい藤ヶ谷さんを見れて、楽しく読ませて頂いてます。『春』の続編を勝手ながら期待しております。 (2018年9月19日 11時) (レス) id: 0555875bff (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!私の中で藤ヶ谷さんは受けだと思っていて笑 北藤、玉ガヤ大好きなんです笑 そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - わたリンさん» コメントありがとうございます!お返事遅れてしまい大変申し訳ありません( ;∀;)!春の続編いつか書きたいと思っておりますので、楽しみにしていてください! (2018年8月5日 13時) (レス) id: 99aac380a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚 | 作成日時:2018年4月16日 21時