12.2 ページ48
「(もぐもぐ)箔が付くかな、と(もぐもぐ)」
「生意気言ってんじゃないよっ！あんたバカッ！？」
「バカじゃねぇ(ムシャァ)けど……」
ヨウコさんの怒声に団員達は背中を向けて
おにぎりに手を伸ばす。
「バカよバカ！大馬鹿っ！
とりあえずもっかいきちんと話ししましょうって言われたから！
今から向こう行って……」
「ええええ(モグモグ)俺もう決めたもん(ムシャムシャ)いまさら何も変わらんわ(ムシャァ)」
「とりあえずその握り飯を お・け」
智君は最後の一口を口に入れて、指についたお米も唇で取る。
「とにかく、今から行くの。」
「なに、あっちのお偉いさんにそんなドヤされたの？」
「あのねぇ、あんたの独断だけでどうのこうの出来る話じゃないのよ？」
「最終的にやるのかどうかは俺が決めることだろ。」
「あぁーもぉー！ちょっとはあたしの立場ってもんも考えてくれないかなぁーーー！」
「おれヨウコのために役者目指してんじゃねぇし。」
「あああーーーもおおおーーー！！！」
ヨウコさんが、頭をぐしゃぐしゃにかき回した……
智君、ふだんそんな喋らないのに……
めっっっっちゃ饒舌やな(笑)
複雑な顔しててもおかしくないかおちゃんなんか、
何故か必死に笑い堪えてるし。(笑)
結局、口論(？)の末、智君……連行。
「断るにしても、きちんと頭下げなさい」と……
どうやらヨウコさんが折れる形で、2人は部屋を出て行った。
「おお、怖っ」
「智君、相変わらずヨウコさんに強ぇよなぁ」
「昔は付き合ってんじゃないかって話しも出たくらいだもんね」
ヨウコさんがいなくなった事でほぐれた稽古場の中が
団員達の談笑で溢れる。
あたしは……つつつ、とかおちゃんに近付いて、肩を寄せる。
「……大丈夫かなぁ、智君。」
「智は大丈夫でしょ、大丈夫じゃないのはヨウコさん(笑)」
「……だわな(笑)」
2人でくつくつ笑っていると、マサシ君が近付いてくる。
そしてあたしが肩を寄せるのとは反対側の肩に身を寄せると
「智君、なんで断っちゃったの……？」って
怪訝な表情でかおちゃんに囁いた。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2016年4月23日 13時
