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「ジンさん、好き」
そう皆がいない練習室で呟く毎日。
誰もいない部屋に響くその声は虚しい。
「伝えればいいのに」
声に驚く。
後ろにはユンギがいて優しい笑顔をしてそう言ってくれる。
「気付くのが遅すぎた」
「まだ間に合うんじゃない？」
「もう他に好きな人できたかも」
「吸血鬼は一途だからそうそう変わらないよ」
「え」
ユンギの言葉に何も言えない。
なんで覚えてること知ってるの。
なんで、だって忘却って力あるんでしょ。
「なんで忘れてないこと知ってるのって顔だな」
「う」
「Aが好きだったから」
そういう彼の顔は寂しそうで私また言いたくなる。
きっと昔の私なら喜んで私もって言っていた。
「俺の力、好きな奴には聞かないの」
「そうなんだ」
「昔、俺のこと好きだっただろ」
「え」
「吸血鬼って好意持ってきたやつから“匂い”するから」
「うわ、ひど知ってたんなら」
なんで告白してくれなかったの
最後の言葉を飲み込む。
「俺は練習生でお金もなかったし学費稼ぐので精一杯で大事にしてやれないと思った
それにジンヒョンがAのこと好きって知って俺より絶対あの人の方が幸せにできるって思ったんだよ」
ユンギはごめんなと私の頭を撫でてくれる。
「ジンヒョン、今隣の部屋でダンスの練習1人でしてるよ」
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作者名：えびちりり | 作成日時：2022年5月9日 7時
