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「ジンさん」
練習中のジンさんに話しかける。
精一杯の好きを気持ちに乗せて一言一言喋る。
“臭い”がなるように。
「ちょ、Aちゃん、」
鼻に手を持っていくジンさんにああもう“匂い”じゃなくて“臭い”としてしか認識されないんだ。
「くさいとかじゃなくて……えっと、」
「私全部覚えてますよ、ジンさんたちが吸血鬼なのも」
「え」
「ジンさん、好きです」
一歩ずつ近付くのに離れる彼。
「覚えてるなら尚更近付かないで
襲いたくない」
そういう彼は僕も好きだよ今でもと言ってくれる。
「ジンさんがいいなら襲って」
何年前の話になるだろうか。
付き合う前に襲ってとお願いする破廉恥な女。
それでも今はすごく仲の良い番だ。
毎日お互いに好きって伝えても冷める様子もなく
吸血鬼って本当に一途だなって。
喧嘩もしたことないし。
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作者名：えびちりり | 作成日時：2022年5月9日 7時
