失いたくないから (ページ16)

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“私を好きだと言ってくれた彼女”と一緒に運動場に向かった。

［Aちゃんも綱引きだよね？私先生の話とか聞いてないから移動するときになったら連れ出してね。］

『オッケー！』

本来なら彼女が先生の指示を聞いていれば済む話だとは思ったけど、それよりも彼女に頼られたことが嬉しかった。

彼女は私がはってきたバリアをやすやすとぶち破っていく予感がした。

私が自分自身を確立し始めてからずっと作ってきた私という存在が壊されていく気がした。

でも、私はどこかでそんな私を変えたいと望んでいるような気もした。

きっと、自分自身ではできない。

私という存在を自己完結で済ませていこうとしていたのだから。

きっと私を変えてくれるのは、私ではない誰かだ。

でも、私が変わるのは過去の私を失うような気がして寂しくなる。

こんな感じで思考の無限ループにはまりそうになったとき、そこから救ってくれたのは樹くんだった。