第8話 ページ8
洗礼を済ませた僕達はユミアに案内されるまま応接室のような部屋にやって来ていた。僕と和奏さんが促された通りにソファーに座ると、ユミアさんは近くの近衛兵(だと思う)と少し言葉を交わすと僕達の隣に座った。
「この部屋で待っていて欲しいとのことで、少ししたら王様が来るそうです。」
「いよいよ対面か〜。ねぇユミア、王様ってどんな人なの?」
「そうですねーここレンデル国の国王様は身分に関係なく優しさをお向けになる気さくな方です。それに国王様が身分制度を軽視しているとして反抗的な態度を取る貴族を抑え込む確かな手腕をお持ちで、歴代でも屈指の名君と呼ばれている方ですよ。」
「歴代屈指の名君……凄いな……。」
「んーでも表立ったものじゃないとはいえ失礼にならないよう頑張らないとね!」
「お二人なら大丈夫ですよ。」
この国の国王についてユミアさんから聞いていると、ノック音の後にシワ一つない燕尾服に身を包んだ男性が入ってきてこちらに向き直った。
「間もなく国王陛下が到着なされます。お客人達の準備は宜しいでしょうか?」
その言葉に僕達は立ち上がり姿勢を正す。ユミアが男性に目配せをすると、その男性はコクリと頷いてドアノブに手をかけた。
「どうぞ。」
「ご苦労。下がって良いぞ。」
重厚な造りの扉が開くと、赤いマントを羽織りとても大きな宝石が嵌った王冠を被った白髪の男性が入ってきた。
「はじめましてじゃな。余がこのレンデルの国王、マーク=レンデルじゃ。ユミア嬢も久しいの。元気そうで何よりじゃよ。」
国王様がそう挨拶をすると、ユミアさんは修道服を両手で摘み広げるようにしながらお辞儀をする。
「はい。お久しぶりです。マーク陛下。」
「うむ。して、そちらのお二人を紹介してもらえるかな?」
「はい。陛下から見て左手から和奏さん、癒歌さんです。私が祈りの間で魔法陣に魔力を捧げている間に現れた方々で、勇者の称号と勇者の助手という称号をそれぞれお持ちになっています。」
「ふむ、勇者とその助手とな?うーむ……伝承には勇者が現れるとしか伝わっておらぬのじゃが……。しかし助手と共に行動することで何か良い効果があるやもしれぬの。」
「そうですね。」
どんどん僕と和奏さんを置いて話が進んでいく。
「なら良いのじゃ。まずは座ってくれるかの?」
促されるままに僕達はソファーに座る。
「うむ。さて、和奏殿と癒歌殿、二人は勇者の役割についてどれくらい聞いておるかな?」
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作者名:めがねとかがみ | 作成日時:2021年9月17日 1時