第7話 ページ7
僕の提案を聞いた二人は、僕と反対の方を向いてひそひそと顔を寄せ合って何かを相談し始めた。正直僕が気にしていようとそうじゃなかろうとやってしまったものはしょうがないと思ってくれていると凄くありがたい。
「ねえ、本当に癒歌君気にしてないと思う?」
「どうでしょうか?まだ出会って間もない私では判断しかねます。」
「まあ一旦癒歌君のことは置いといて、ユミアはその……関節キスって気になる?」
「そうですね……私が後から口を付けるのでしたら気になるかもしれません。ですが今回関節キスしているのは癒歌さんの方だけなので良いかな、と思っています。というかそう思うことにしました。」
「あ〜そっか。たしかにそうだね。じゃあそういうことにしとこう!」
「ですね。」
話が纏まったのかこちらに向き直って僕を見つめてくる二人。
「えっと……どうなりました?」
恐る恐る僕が尋ねると二人は顔を見合わせてふふっと照れたようにも悪戯っぽくも見えるような笑みを浮かべた。
「癒歌君、今回は癒歌君が後から口を付けるだけでユミア自身は関節キスしてないからセーフってことになりました。ね、ユミア。」
「はい!なのでこの話を終わらせるためにも、早く洗礼を完了させましょう!」
「分かったよ。えっと……じゃあ、飲むね。」
「私も。」
そうして、僕と和奏さんは杯に入っている聖水を飲み始める。
「これは……!」
「なんか……不思議な感じ。」
聖水を口に含むと、一瞬だけ暖かい不思議な力に全身を包まれたような感覚があった。そして初めての体験に目を白黒させている僕達を見て、ユミアさんは懐かしいものを見るかのように微笑んでていた。
「これで洗礼は終わりです。」
「私初めて飲んだけど、聖水って水に祝福をするだけなのにあんなに変わってるんだね。」
「そりゃあそうですよ。だって聖水は神の御力の一端が注がれているんですから。」
「じゃあ僕達が感じたあの不思議な感覚が浄化されている感覚ってこと?」
「はい。私も初めて聖水を口にした時は驚いたものです。それに、聖水を飲むという行為自体洗礼以外では呪いの解除のために行われることがほとんどなので滅多に飲むものではありません。だから浄化される感覚に関してはそういうものだ、くらいに考えておけば良いと思います。」
「なるほど、そうだね。」
たしかにそのほうが良さそうだ。さて、次はいよいよ王様と対面だ。一体どんな人なんだろう?
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作者名:めがねとかがみ | 作成日時:2021年9月17日 1時