第4話 ページ4
ユミアさんは和奏さんに名前を呼び捨てにしてもらえて上機嫌になったらしくニコニコしている。
「それでは移動しましょう。一応王様に面会しなければならないので私について来てください。」
「え!?」
「マジか……。」
「まぁいきなり王様に会え、なんて言われてもそうなりますよねー。でも礼儀作法に関しては気になさらないで大丈夫ですよ。謁見では無く面会、と言いましたよね?つまり公に王様と会う訳ではないんです。あくまで内密に、ということです。」
なるほど、よっぽど失礼なことをしない限り見逃してもらえる可能性がある上にそれならラノベとかでよくある貴族達の値踏みするような視線に晒されずに済んで良かった。ん?でも正式に謁見することになったらそうなる?まぁ一旦考えるのは辞めておこう。
「そこまでユミアが言うなら……大丈夫かな?」
「僕もユミアさんを信じるよ。」
「和奏、癒歌さん!」
ユミアさんは感極まった様子で僕達の名前を呼ぶと、目に浮かんでいた涙を手の甲で拭うとふにゃっとした笑顔になった。
「会ったばかりの私ですがお二人に信じていただけてとても嬉しいです!任せて下さい!」
「うん!よろしくね!」
「お願いします。」
「はい!では行きましょう!」
ユミアさんについて大扉を出て階段を登って行くと、そこはこじんまりとした通路があり小部屋が連なっていた。そして何個目かの小部屋の隣にあった通路を進んで突き当りの扉をくぐる。
「綺麗!」
「これは……凄い!」
僕と和奏さんは目の前に広がるステンドグラスに驚いていた。
「ここは教会の礼拝堂の中でも本教会の礼拝堂なんです。神に祈りを捧げるための場所としては最も神聖な場所なんです。ここに来て神に祈りを捧げる事は信徒にとって一つの目標のようなものになっているそうですよ。私は聖女として選ばれた頃からずっとここで修行をしてきたので見慣れてしまいましたが改めて見ると確かに綺麗ですよね。」
「ユミア、このステンドグラスは神様がモチーフになってるの?」
「たしかそうですね。中央の主神像を正面に見て右端から火、水、土、風の神で四柱の精霊神。左端から雷、氷、光、闇の神でこちらも四柱の魔法神。中央の一番大きな方が私達教会が主神と崇める神々を生み出した生命の神です。そして主神の真反対、入り口の上にあるのが主神と表裏一体の神で時と空間の神だったはずです。」
僕達はユミアさんの説明を聞いて、ただただ唖然とするしか無かった。
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作者名:めがねとかがみ | 作成日時:2021年9月17日 1時