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とある隊士の誕生譚3 ページ3

「ありがとうございます。」
「他に質問はありますか?」
「あの、鬼殺隊が鬼と戦う組織だってことは分かったんてすけど、もう少し詳しく教えてもらえないでしょうか?」
「そうですね……まず、鬼殺隊は、産屋敷家という平安時代から続く名家が取り仕切っています。そして階級が上から甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)と十階級あり、その上に君臨するのが柱と呼ばれる隊士です。この柱には相当の実力が無いとなることができません。」
「なるほど。」
「そして鬼を切る為の刀が日輪刀と呼ばれ、場所は隠されていますが刀鍛冶の里と呼ばれるところで作られています。こんなところですかね。あ、私は桃山 花乃(ももやま かの)って言います。よろしくお願いしますね。」
「だいたい分かりました。僕は鏡音眼鏡と申します。こちらこそよろしくお願いします、桃山さん。」
「はい。では、私は失礼しますね。」
「ありがとうございました。」

そうして桃山さんは部屋を出ていった。

「鬼が実在して、それと戦う組織があったなんて……今も鬼達は夜な夜などこかで人を襲っているのかな?」

つい、そんな独り言をこぼしてしまう。
許せない。
家族を……村の皆を化け物に変えた鬼を……
僕は絶対に許さない。
冷静になった途端鬼達に対する怒りが、
憎しみがこみ上げてきた。
これ以上、誰かの命が軽々しく脅かされて良いのか、いや、断じて否だ。
僕は正義の味方でもなんでもない。
大事な人達を失い、孤独になった。
だがなんとなくの善悪の判断ぐらいはできる。

「鬼殺隊に入れば……鬼を切れるようになるのかな?……努力次第ではあるだろうけど、少なくとも教えてはくれるはず……。」

なら答えは決まっている。

「鬼殺隊に入る。そして家族の仇を撃つ。
これ以上、孤独になる人が出ないように。
誰かを守れる力を、身につけたい。」

強く、強く決意した。
守れなかった皆の分まで生きて、
守れなかった皆の分まで誰かを救うと。

どれくらいの間考えていたのだろうか。
ふと窓を見ると夜になっていた。
空に浮かぶ月は、いつもより強く、
輝いている気がした。

その時、部屋の扉が開き、
青波さんが入って来た。

「……どうやら覚悟は決まったみたいだね。」
「はい。」
「じゃあ入隊試験と、
呼吸について教えようか。」

そうして青波さんは話し始めるのだった。

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作者名:めがねとかがみ | 作成日時:2020年8月5日 18時

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