とある隊士の誕生譚13 ページ13
鳴神さんとの試合から半年近くが経った。
そして僕は今現在鬼殺隊の入隊選別試験の会場に向かっている。
あれから何度も何度も訓練や試合を重ね、信太郎さんも僕もまだ一対一では鳴神さんに勝てないが十分強くなっている実感がある。未だに新しい自分だけの呼吸は習得できなかったが、雷の呼吸を壱ノ型だけ習得することができた。これは大きな有利点だと言える。普通は一種類の型しか習得せず、それを極めるものだからだ。だが、鳴神さんには、
「鏡音、お前は水の呼吸を極めるとは限らんからの。覚えておいて損はないじゃろう」
と言われている。確かに雷之呼吸の足運びは速く、自由自在な水之呼吸と上手く組み合わせることで何倍もの強さを発揮できるようになった。そして全集中之呼吸も上達し、身体能力が向上した。そして数日前、任務から帰って来た青波さんにも太鼓判を押され、日輪刀を借りて出発した。
「ふぅ……今日はこの町までですね。もうすぐ夜が来ますし、早く宿に泊まりましょう。」
そして町の中で適当な宿に泊まった。
「い、嫌ぁ!!」
「!?」
夜遅く、寝ていると悲鳴が聞こえた僕は飛び起きる。日輪刀を片手に襖を開け、外を見回す。すると宿のすくそばの路地裏で何人かの町娘達が2匹の鬼に挟まれているのが見えた。急いで襖を全開にし、少し下がって日輪刀を構える。
「雷の呼吸壱ノ型、霹靂一閃!」
宿から一瞬で飛び出し、鬼の頭上に移動する。そして刀を持ち替え型を出す。
「水の呼吸捌ノ型、滝壺!」
「な!?」
上からの奇襲に、手前側に居た鬼は成す術なく首を落とされた。
「まず一匹!」
「ちっ!鬼狩りめ!」
「逃がしませんよ!」
もう一匹の鬼が路地を左に曲がる。
「逆にお前を喰ってやる!!」
僕が飛び出す瞬間を狙ったのか、路地の曲がり角に鬼が、拳を突き出す。しかし僕はそれを路地を曲がる前に跳んだことで躱した。
「何ィ!?」
「水の呼吸壱ノ型、水面切り!」
「チク……ショォ……鬼……狩り……ガァ」
頸を切られ怨嗟の声を上げて消える鬼。僕は日輪刀を鞘に納め襲われていた町娘達に話を聞きに行く。
「大丈夫ですか?お怪我はないでしょうか?」
「は、はい!ありがとうございます!」
「お陰で助かりました!」
「なら良かったです。ところで、アレは昔から出たのですか?」
「いえ、あんなの噂すらありませんでした。」
「ありがとうございます。では、皆さんお気をつけて。僕はこれにて失礼します。」
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作者名:めがねとかがみ | 作成日時:2020年8月5日 18時