魔王の勇者 (ページ26)

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魔王様に説明ページ26

「あ、私のことは気にせず話し続けて。」

　考え込んでいたルナさんがふとこちらを見て続きを促してきた。

「分かりました。それでですね、空気中にある酸素という気体は燃えた後には二酸化炭素という気体になるそうです。あと生き物が呼吸して酸素を消費しても二酸化炭素になるみたいです。」

　酸素が二酸化炭素になるというつながりだけで呼吸についても話してみると、思っていたよりも驚いたようでルナさんが目を丸くしている。

「え……それだと消費される一方じゃない。酸素は枯渇してしまわないの？」
「それがですね、世界ってのは良くできていて植物が持つ葉緑体というものが光と水があれば二酸化炭素を酸素に変化させる能力を有しているので世界中の植物が枯れない限りは酸素が枯渇することは無いらしいですよ。」
「なるほど！確かに上手くできてるわね。」

　小学校で習う理科レベルだけどこのくらいしか思いつかなかったのだから仕方無い。所詮高校入試に使うものと一般的な高校の授業レベルまでの知識しかない高校生の中で文明が発達するほどの科学知識を持つ人物の方が少数派だろう。

「とまあこんな感じで魔法のない世界では様々な分野で分からない事象を解明していった結果それらの仕組みを応用する技術が進歩して、誰でも調理する時に火を使えますし水も上下水道が整っている国は蛇口を捻れば水が出る生活ができます。」
「整っている国は、ってそうじゃない国もあるってこと？」

　魔族の国を治める王だからかルナさんは国という単語に引っかかるものがあったようだ。

「まあ……そうですね。僕が生活していた国は大きな戦争に負けてそれ以降長い年月をかけて主権を回復し、今では平和でそれなりに豊かな国になっていますけどそれでも別の地域では発展面での格差も多く、宗教的なものから政治的なものまで色々な理由で戦争が起こっていました。幸運にも僕は知識として知っているだけで戦争には関わらずにこの年まで生きてこれました。」
「やはり……どこの世界でも戦争は起きてしまうのね……。」

　悲しそうな表情で噛みしめるようにそう呟くルナさん。というかまったりしようと言ってくれたルナさんにこんな会話で良いのだろうか？というか僕が嫌だ！

「重い話はこれくらいにしませんか？と言っても半分以上は僕のせいですが。」
「へ？……ふふ、そうね。そうしましょ！」

　無理矢理感は拭えないがこれで話題は変えれそうだ。良かった。