魔王の勇者 (ページ22)

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紹介相手の印象は…… ページ22

「聞きたい事はこんなとこかな。」
「はい。」

　疲れた。嘘はついてないがウィレーヌ様に関することは全て伏せた。まぁ召喚された国の事については知る限りの事と言っても大した事は知らないが全て話したから特に怪しまれはしなかったと思う。さて、そろそろ僕の聞きたかった事について聞いてもいいだろう。

「じゃあ今度は僕の本題に入って良いですか？」
「ああ。そういえばお前がここに来た理由聞いてなかったな。言ってみろ。」
「この前に頂いた紹介状に紹介相手のいらっしゃる場所が書いてなかったのでどこに行けばいいのか聞こうと思いまして。」
「あ、すまん。そういや書いてなかったか。悪い、今書き足してやるから詰め所で待っててくれ。」
「はい。」

　僕が言われたとおり詰め所で数分程待っていると、万年筆のインクを乾かすためか紹介状をひらひらとさせながらさっきの騎士が歩いてきた。

「待たせたな。これに書いてあるとおり城下町から出て西にしばらく行くとある館に行くと良い。そこに引退したくせにすこぶる元気なジジイ共がいるからな。俺達も昔はあのジジイどもがオッサンの頃にしごかれてるからな。一つアドバイスするなら何を言われてもやり続けろ。弱みを見せるな。隙を見せると死ぬほどつつかれるぞ。」
「へ？ど、どういうことですか？」
「言ったまんまだ。ジジイ共も俺たちが言えたことじゃねえが口が悪い。どんな罵詈雑言が飛んできてもおかしくねぇ。なあ？」

　彼は近くを通りかかった同じ騎士団の仲間たちに問いかける。

「全くだ。けど実力は保証するぜ。」
「ああ。死ぬほど厳しいが実力は着く。」
「基礎体力つけたんならなんとかなるさ。」
「死なねぇ程度に頑張れよ。」
「…………はい。」

　かなり厳しいらしいということは伝わった。だが剣の腕は確かだと皆言ってるから頑張れば実力は着くだろう。正直怖いが自衛のためにやるしかない。

「ビビったか？」
「皆さんが恐れるくらいヤバいならそりゃびびりますよ！……でも自分の身を守れるようになりたいのでやってやりますよ。」

　僕が少しヤケクソ気味にそう言うと、騎士団の人達は笑いながらもなんやかんや応援してくれた。

「それじゃあ行って来い！」
「あ、そういやあのジジイ共に修行つけさせるなら多分願わなくても強制的に泊まり込みになるんじゃねえか？」
「え？」
「「「あ！」」」

　皆して忘れていたらしい。まったく、そういう重要なことはもっと早く思い出して欲しい。