追放されたと思ったら…… ページ3
気が変わらないうちに伝えよう。
「分かりました。逃げないので……気が変わらないうちにお願いします。」
「!……では、付いてきてください。」
「はい。」
僕は女騎士さんに案内され、隣の部屋に入る。そして女騎士さんは床に描かれている魔法陣に綺麗な石を置くと、こちらに向き直った。
「今置いたのは魔石、と呼ばれるものです。貴方はこれで何処かに転移されます。……これを、持って行ってください。もし、運良く人のいる街に出られたら、これを見せて匿ってもらってください。」
そう言って女騎士さんは、紙に何かを書いて渡して折りたたみ、封筒に入れたものを手渡して来た。
「良いんですか?」
「私は、人々を守るために騎士になったんだ。なのに今回の仕事は守秘義務があるからという理由で君のような子供を追放することだ。なに、気にすることは無い。ただの罪悪感を紛らわすための自己満足だ。これぐらいしかしてやれないがどうか生き伸びてくれる事を祈っているよ。」
「ありがとうございます。」
この人は本当に良い人だ。だけど身分には逆らえないようだ。仕方が無い。僕だって学校をサボることはしなかった。きっと似たような感じだろう。
あ〜怖い。でも覚悟は決めたんだ。
「じゃあ、お願いします。」
「……分かった。」
そう言うと女騎士さんが魔石に触れる。すると魔法陣が光りだして視界が真っ白に染まる。
「またいつか、会えると良いですね!」
「!……ああ!またいつか!」
その言葉が聞こえた途端視界が完全に白一色になったのだった……
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行ってしまった……
「全く、またいつか、か。」
怖かったろうに。優しいのだろう、あの少年は。声も少し震えていたし作り笑いがぎこちなかった。きっと私に心配をかけないようにしようとしてくれたのだろう。私が女だからだろうか?でも、きっと彼は生き延びてくれる。そんな気がした。
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目を開けると、とんでもなく綺麗な女性が目の前に。思わず見惚れ、つい零した一言が
「僕死んだのかな?」
すると……
「死んでませんよ?」
返事が帰って来た。僕は死んでないらしい。
「えーっと、初めまして、僕は雨野流真といいます。貴方の事を伺ってもよろしいでしょうか?」
「いいですよ〜。じゃあ自己紹介しますね。」
目の前の女性は鈴の鳴るような美しい声でそう返事をしてくれた。この人は一体どんな存在なのだろうか。
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作者名:めがねとかがみ | 作成日時:2020年9月15日 23時