魔王の勇者 (ページ14)

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人生初の訓練は…… ページ14

部屋に戻って来た僕は机を端に移動させ、とにかく自分の部屋の中央に物を振り回しても何もぶつかることの無いスペースを作り出した。そして持って来た木剣を鞘から抜いてみる。

「う～ん……これは確かにまだ振り回したら駄目だ……筋力が足りないや。振り回したら手から抜け落ちて勢い良く飛んでくな。言われたとおり筋力トレーニングと棒使って素振りかな。」

　木剣を鞘に納め、棒を持つ。

「この棒は戻る時に城の中庭で大きな木の剪髪をしていた職人さんから貰ったものだけど長さも重さも良い感じだな……。あ、そういえば型を教わってない！とりあえず体育でやった剣道の授業の時の素振りで良いか。本格的なのは紹介状の紹介先に教えてもらってからで良いし。」

　そうしてしばらくの間真っ直ぐ頭の上から棒を振り下ろし続けていると、ふと頭の中に声が響いてきた。

『もしも〜し、すこーしぶりですね！ウィレーヌですよ〜。』
「クッ、コイツ直接脳内に！」
『ふえぇ！？何ですかそれ！？ま、まさか私の事忘れちゃったんですか！！』
「え、あ！すみません！元の世界にいた時にファンタジー物の漫画とかアニメ……えーと要は架空の物語とかでこういう風に相手に念話？みたいな物を急にされるとこう返すっていうのがあってですね？……それに憧れてやりましたごめんなさい！貴女様のことはちゃんと覚えてますから！！」
『なるほど異世界のギャグ、みたいな物と。む〜……突然話しかけた私も悪かったですが貴方も急に勢い良く言い切られても困ります!次からは普通に返してくださいね?あと声に出さなくても返答はできますよ。』
「分かりました。以後気をつけます。」
『よろしい。』
『ところでウィレーヌ様、一体何のご用事だったんですか?』
『そうでした！貴方が強くなれるように、筋力とかスキルとかも鍛えれば普通の人より圧倒的に早く成長できるようにしてある事は覚えてますか？』
『はい。』
『取り敢えず今は剣術を会得したいのでしょう？なら一時的に……大体1時間程の間筋力を上げる魔法をかけておきます。なのでちょっとだけ木剣で素振りをしてみて下さい。スキルだけは習得できますから。スキルを手に入れたら後は貴方の頑張り次第です！では、私はこれで。訓練頑張ってくださいね〜！』
『ありがとうございました。』

　言われたとおり木剣を持つと、明らかにさっきより軽く持つことができた。それから僕は1時間弱、言われたままに木剣を真っ直ぐ振り下ろし続けるのだった。