次の来客は…… ページ24
レナさんから譲り受けた旅行用鞄に荷物を詰めていると、部屋のドアをノックする音が聴こえた。
「開いてますよ。どうぞ。」
返事は聞こえずドアが開く音だけ聞こえたので誰が入ってきたのか確かめようと振り返ると、無言かつジト目でこちらを見ているルナさんがいた。
「えっと……ルナさん？魔王である貴女がなんで僕なんかの部屋にいらっしゃったのでしょうか？」
僕は不興を買わないように誰か他の魔族の方に聞かれないかビクビクしながらルナさんと呼んでみたがその後の質問は蛇足だっただろうか。どうして何も言わないんです？
「はぁ……」
ルナさんは溜息をつくと扉を閉め、こちらにツカツカと歩いてくる。
「あのー？ルナさん？」
「流真！貴方引退した元魔王軍近衛騎士団員達がいる館に行くそうね。」
「確かに剣術を学ぶため行くつもりですけど……何か行ってはならない理由でもあるんですか？」
「そういうわけじゃないんだけどね……流真まだ私と話したのこの前私が貴方を呼んだ時だけじゃない！レナとは何度も何度も話してるみたいなのにズルくないかしら？」
ジト目のままグイッと人さし指を僕に突きつけて上目遣いで問いかけてくるルナさん。正直レナさんに散々からかわれて多少は耐性ついたと思ってたけどルナさん綺麗すぎて近いだけでも緊張するなぁ……。
「えっと、レナさんは僕のことをおもちゃかなんかだと思ってると思いますよ？それにあの人は暇な時間か仕事の合間に来てるのか分かりませんけど話した時間はそんな多くないと思います。」
「ふーん……でも私とももっとお話しましょう？というかしなさい！私が満足するまでこの城からの外出は許可しません！」
「え？まぁ、急ぐわけでもないので構いませんが……魔王としてのお仕事は大丈夫なんですか？」
「ええ。それに貴方のことをレナから聞いてちょっと急いで仕事を終わらせて来たから今日はあと2時間ぐらいは話せるわよ。」
「一応言っておきますが2時間も話題出せるほど僕コミュニケーション上手じゃないですよ。そこは了承しておいてくださいね？」
「分かったわよ。話題が無くなったら貴方で遊ぶとするわ。」
「結局僕はおもちゃですか……」
「まぁ否定はしないわね。」
「えぇ……」
「でも貴方と仲良くなりたいってのは本音よ？だから一緒にまったりしましょう？」
「分かりました。僕で良ければ喜んで。」
「うん。よろしい！」
レナさんの次はルナさんのおもちゃか……どうしてこうなった？
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作者名：めがねとかがみ | 作成日時：2020年9月15日 23時
