流川クンと流川サン【流川楓】 (ページ5)

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始まりの日ページ5

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流川とのこの歪な関係が始まったのは、今から約1ヶ月前の5月…だった気がする。

というのも、あの頃は身の回りの環境が色々変わって、受け入れ難いことばかりで、もう頭の中がごちゃごちゃで、

正直日付まではよく覚えていないのだ。

そんなこんなですっかり疲弊しきっていたそんなある日、私は放課後、2人きりで、流川と1つの机を隔て向かい合うように座っていた。

その頃にはすっかりダブル流川、凸凹コンビ、として流川のお世話係に定着していた私は

流川が未提出の数学の課題を、その課題が仕上がるまで見てあげてほしいと先生に頼まれていたからである。

外は大雨だった

その激しい雨音が痛いほどに耳を刺激していた。

だがそれとは対照的に、私たちの間には静弱が漂っていて

ただ黙々と、私が教えて、流川がそれを紙に書くという作業を続けていた。

天候のせいでいつもより暗く、電気もつけていないため文字が少し見辛くなってくる
　
でもわざわざ電気をつけに行くのは面倒で、流川も特に気にしていないようだったのでそのまま続けていた。

そんな時一筋の光が空を射したかと思えば、

瞬間、地響きが伝わるくらいの轟音で雷が鳴った。

咄嗟のことで心底びっくりした私は勢いよく体を前傾させてしまい、ゴツンッとかなりの勢いで流川の額にぶつかってしまった。

ぶつかったところを手で抑えて流川は紙に向けていた視線を私に向ける。

その当時はまだ流川の事をよく知らなかった私

流川に対する印象は、先生に向って“俺の眠りを妨げる奴は何人たりとも許さん”なんて言って退けるヤバい人だったため、

ぶつかってしまったときは本当に絶望だった。

最近ついてなさすぎ、何でよりによって流川なの

何されるか分かったもんじゃないよ、殴られるかもしれない

お父さんの件も、あの人の件も、転校の件も色々あったのに、何でまた酷い目にあわないといけないの？私が何か悪いことでもした？こんなの不公平でしょ？何で？何でよ

ガシャリ、という音と共に

感情のダムが決壊したように溢れだす

キツイ、辛い、もう嫌だ、苦しい、何も考えたくない、見たくない聞きたくない知りたくない受け入れたくない___

…いや、

もうどうなったっていいや

気がついたら私は
　
頬に涙を伝わせていた。

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