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彼の言うことは正しかった。
あまりにもっともで、言葉が出なかった。
彼はゆっくりと、掴んでいた両手首を離し、息をついてから髪をくしゃりとさせ、それから立ち上がった。
驚いて顔を見上げると、「…今日は帰る」と、彼は目をそらしながら言った。
伏せられた目のせいで、感情が全く分からなくて、戸惑いながら「…うん」と頷く。
「…多分これ以上一緒にいるとAのこと傷つけるから」
「……ごめんなさい」
「頭冷やしたいし、Aももう一回考えて」
「……」
途中から涙で言葉にならなかった。
「これで別れたとか思わないし、落ち着いたらまた話そう」
「……うん」
「Aが思ってることは分かったから。」
彼は少しだけ躊躇った後、ちょっと引き返してきて、何をするのかと思ったら私の頭にぽんと手をおいた。
「Aが気持ち伝えるの、下手なのは分かってる。」
「……、」
「だから今俺に言ったのは勇気出しただろうし、頑張ったと思う」
俯いて、手の甲で涙をぬぐう。
「でももっと早く言って欲しかった。自分で完結しないで、悩んでることは俺に言って」
「……はい」
そのまま数回髪を撫でてから「…じゃあまた連絡する」と遠ざかっていく。
その姿を見ることが出来ずにうつむいたままやり過ごした。
涙が膝の上に落ちていき、パタンとドアが閉まって彼が部屋を出たのが分かってから、両手で顔を覆って我慢せずに泣いた。
彼も本当はずっと、今日私に言ったようなことを思っていたのかもしれない。
それが申し訳なくて辛くて、
たった今自分が拒否したばかりなのに、彼に抱き締めてもらいたくて、自分の都合の良さに眩暈がした。
彼の香りが部屋中に漂っていて、息するだけでも苦しかった。
私は逃げているだけなのだろうか。
自分の考えを、ただ押し付けているだけだったのだろうか。
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みみ - 定期的に読み返しています！大好きな作品で続きが気になって仕方ありません！ (2022年5月14日 1時) (
レス) @page18 id: c42b45f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
るか(プロフ) - 読ませていただいてます。 (2022年4月30日 13時) (レス) id: 6e3ccbc5ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 大好きな作品です！！！！何度も読み返しております。 (2022年4月30日 2時) (レス) @page18 id: ff889105d6 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 何回も読み返しています。更新待ってます。 (2022年1月18日 4時) (レス) id: 07e857a9fb (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - きっと2人とも今すごく辛い状況にいて好きだという気持ちだけではどうにもならない世界が本当に苦しいですが、とにかく2人がこのあと2人の正解をしっかり導き出せることを祈ってます。 (2020年7月16日 21時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2020年7月3日 21時
