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彼は言葉を区切ってから息を大きく吐いた。
「……ねえ、俺の気持ち考えた？」
「……」
「迷惑かけるくらいだったら別れようって、それ考えてる時、俺がどう思うか考えたの？」
「……」
「考えてないでしょ。」
「……考えたよ」
「…じゃあ俺がどう思うと思ってた？」
答えられなくて、泣きたくて唇をかんだ。
泣くなんてこと私に許されてないのに、涙が目じりからこぼれていく。
「…樹くんなら分かってくれるって、」
「俺ならって？そんななんでも受け入れる聖人じゃないし」
彼の強い口調にとうとう涙が止まらなくて両手で顔を覆った。
でも彼はそれを許さないで両手首を掴んで下ろさせる。
「Aにとって俺は都合よく来て助けてくれたやつってだけかもしれないけど、」と彼が言いかけ、「そんなことない」遮った。「そんなことない」もう一度重ねて言った。
「それなら、じゃあ今お前に別れようって言われて、どんだけ俺がショックだったか分かる？」
「……」
自分の傷は覚悟していた。
でも彼の言う通り
彼の傷まで考えてなかった。
そしてそれがどれほどの痛みを伴って自分に跳ね返ってくるのかも。
「いつまでそうやって閉じこもって、楽な方向に走るわけ。俺には傷つきたくないからそうしてるようにしか見えない」
「…だって」
「Aは中学生でデビューして人と最低限にしか関わってこなかったから、こういうまどろっこしいこととかも、煩わしい、考えるのも疲れるって全部閉め出して、最初からなかったことにしてるけど、それって逃げてるだけじゃん」
「なんでそんな風に言うの」
「そう見えるからだよ。でも人と関わるってもっと色々複雑だから」
「分かってるよ、」
「誰かと付き合うってAにとっては初めてで、確かにそれは俺も分かってる。難しいし傷つくし、性別が違うから何考えてんのか全然分かんないし」
「……」
「自分の気持ち伝えても伝わんなかったり、誤解されて面倒になったり、すれ違って傷ついたり、そういうことたくさんあるけど、でもそういうこと繰り返してみんなやってんだよ。Aはそれすらも全部投げ出して、傷つくこと避けて、私といたら良くない、迷惑かけるからって言って、向き合うことから逃げてる」
「…ひどいよ」
「大事なものを守るって言いながら、結局は自分が傷つきたくないだけだし、何もしないでただ安全な殻に閉じこもって雨が止むの待ってるだけでしょ」
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みみ - 定期的に読み返しています！大好きな作品で続きが気になって仕方ありません！ (2022年5月14日 1時) (
レス) @page18 id: c42b45f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
るか(プロフ) - 読ませていただいてます。 (2022年4月30日 13時) (レス) id: 6e3ccbc5ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 大好きな作品です！！！！何度も読み返しております。 (2022年4月30日 2時) (レス) @page18 id: ff889105d6 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 何回も読み返しています。更新待ってます。 (2022年1月18日 4時) (レス) id: 07e857a9fb (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - きっと2人とも今すごく辛い状況にいて好きだという気持ちだけではどうにもならない世界が本当に苦しいですが、とにかく2人がこのあと2人の正解をしっかり導き出せることを祈ってます。 (2020年7月16日 21時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2020年7月3日 21時
