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「A？」
「……」
「どした？」
彼が手を伸ばして、頭を撫でる。
かみしめる。
こらえる。
そして…
「…やっぱりずっと思ってたの」
「……何を？」
「……」
手が震えたので、膝の上でぎゅっと握りしめた。
彼は私の頭から手を離した。
「やっぱり、終わりにしたい…って」
彼が「どういうこと？」と言った。
その声はぴんと張りつめていて、体温が下がったような気がした。
「…別れたいってこと」
・
言葉に出すと重く感じられた。
何て言うか迷っていたのに、実際に言うとなると1番シンプルな言葉が口から出てきて、自分でも想定していなかったストレートな言葉に内心焦りを覚えた。
瞳を少しだけ動かして彼の表情を見る。
息が止まりそうになった。
彼の顔が歪んでいた。
こんなの見たことなかった。
今の一言がどれだけの力を持って彼の心を抉ってしまったか、手に取るように感じられるのが苦しかった。
・
意地のように黙り込むと、しばらくしてから彼が口を開く。
「……なんで？」
掠れた声の語尾は小さく、私は呼吸を整えてから口を開かなくてはならなかった。
「…やっぱり…無理だもん。」
「だから何が？」
「……こんな、隠れて会うみたいな…」
「…隠れてるわけじゃないだろ」
思ったよりずっと強い彼の口調に、再び言葉に詰まる。
彼はため息をついて私を引き寄せようとした。
でも身体を固くさせてそれを拒否した。
「…どういう心境の変化？」
「…変化したわけじゃないよ」
「じゃあずっと思ってたってこと？嫌いになった？他に誰か好きなやつでもいるわけ？」
畳みかけるように矢継ぎ早に聞かれて頭の中が混乱する。
「違うの、でも…」
「…でも何？」
彼の声は冷たくて、言いたいことの半分も言えなくて、自己嫌悪に陥りながら言葉を探して吐き出した。
「好きだけじゃどうにもならないことがあるのに…それを誤魔化しながら一緒にいるのが、辛い…。」
「…なんだよそれ」
「樹くんの邪魔したくない」
「いつ俺が邪魔って言った？」
「…私たちが一緒にいても良いことないと思うから」
咄嗟に言った言葉にすぐ後悔が胸にあふれた。
自分で放った言葉は、自分も傷つけた。
「…お前はさ」
低くなった声に思わず顔を上げると、彼は思ったよりずっと近くにいた。
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みみ - 定期的に読み返しています！大好きな作品で続きが気になって仕方ありません！ (2022年5月14日 1時) (
レス) @page18 id: c42b45f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
るか(プロフ) - 読ませていただいてます。 (2022年4月30日 13時) (レス) id: 6e3ccbc5ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 大好きな作品です！！！！何度も読み返しております。 (2022年4月30日 2時) (レス) @page18 id: ff889105d6 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 何回も読み返しています。更新待ってます。 (2022年1月18日 4時) (レス) id: 07e857a9fb (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - きっと2人とも今すごく辛い状況にいて好きだという気持ちだけではどうにもならない世界が本当に苦しいですが、とにかく2人がこのあと2人の正解をしっかり導き出せることを祈ってます。 (2020年7月16日 21時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2020年7月3日 21時
