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◇◆◇
その日の仕事が終わったのは7時過ぎだった。
メイクを落として着替えて、買い物をしてから部屋に戻ると電気はついていなかった。
いつものこと。
A｛何時になる？
送ろうと思ったけどやめた。
テレビを見ていたら虚しくて大した気晴らしにもならなくて、そのままソファで寝落ちした。
・
ふわりと髪や頬、手を撫でられているような気がして瞳を開ける。
起き上がるとズルリとブランケットが身体から滑り落ちた。
帰ってきてる。
振り返って奥を見ると、慎くんのカバンが無造作に机に置かれていた。
久しぶりに彼の姿を見た気がする。
A「…おかえり…」
慎「そんなとこで寝てたら風邪ひくよ」
シャワーを浴びたのか ほんのりとぬれた髪のままキッチンに入り、コップに水を注いでごくりと飲んだ。
A「今何時…？」
慎「11時半」
A「…あ…そう」
慎くんはコップを持ったまま私の方に歩いてきてドンと隣に座った。
手を伸ばして瞼に触れる。
慎「目きらきらしてない？」
A「アイシャドウだよ」
慎「塗りすぎ」
A「仕事だもん」
慎くんがそのまま顔を近づけてきたので、反射的に体を引いた。
慎「…なんで避けんの」
A「いや、別に…」
むっとしたのか、さっきよりずっと強引に唇を重ねてきた。
2人で花火を見た時の唇の味がしたような気がしたけれど、
その直後、流し込まれる水に混ざったお酒の香りに胸が詰まった。
A「ねえ…っ、」
慎「…」
慎くんの唇が、私の唇を食むように覆う。
ぐっと滑り込んでくる舌は熱く、お酒の香りに舌先がビリビリとした。
言葉もなくただキスをして、息が上がってきた頃にぺろりと下唇をなめると
唇の端から滴り落ちた唾液を追いかけるように
彼は首に舌を這わせ、痕をつけようとしたり、咬んできたり
自分勝手に上がった体温と熱をそのまま私にぶつけた。
あの日のキスは、私たちの原点だったけれど、頂点でもあったのかもしれない。
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月＊LUNA＊(プロフ) - 短編でこんなに素敵な作品になるんですね。感情移入するほどです。 (2020年10月4日 19時) (
レス) id: 039c6da5d9 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - hinatabocco2525さん» あまあまな慎くんなかなか妄想しづらい！ですが…私もいつか書いてみたいです笑 そのときはまた読んで下さいね(^^) (2020年6月21日 22時) (レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - MIYABIさん» 感情移入して頂けたようで嬉しいですっ。これからも頑張るのでよろしくお願いします(^^) (2020年6月21日 22時) (レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - まんまるさん» ネクタイをしめる主人公いつか絶対書きたいです(TT)いつになるか分かりませんがそのときは読んで頂けると嬉しいです(^^) (2020年6月21日 22時) (レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - 蛍さん» こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます！(^^) (2020年6月21日 22時) (レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2020年4月30日 21時
