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なんでそんなこと口出しされなきゃいけないんだという気持ちが大きくて、まだ呼吸も整わないうちに言われたこともあって冷静になれなかった。
「…もう終わったってことですよ」
「……え？」
「まぁ終わったっていうか。…最初から何も始まってなかったかもしれないですけど」
「…諦めたら終わりやで、」
「じゃあどうすればいいんですか！」
大きな声が出て、慌てて口をつぐんだ
「…翔吾さんには分かんないですよ」
自分が大声を出したということに急激に心が冷めていって、心も冷静になっていった。
「…まあ、分かんないわ。それはそうやけど」
「……、」
自分と彼女の2人の問題なのに、口出しするほうがおかしい
いくら翔吾さんでも、それは。
「…俺らデビュー目指してんねんで」
「…分かってますよ」
「だから、今はそれだけを考えてやったほうがええよ」
「………分かってます」
分かってる。頭では、分かってる。
頭では。
ホットミルクは冷めると美味しくない。
残っていた分を一気に飲むと、喉がひりついた。
「…いっちゃんの気持ちはちゃんとAちゃんに届いてると思うよ」
黙りこくった自分に、翔吾さんがそういった。
デビュー。武者修行。東京、芸能界、スキャンダル。恋愛禁止。
「…今はいいです、そういうの」
くちびるは乾いていた。
まだ18歳なのに、立場やファンのことを、自分の気持ちよりも優先して考えられる彼女がひどく大人に思えて、胸の中に冷たい風が吹いていくようだった。
彼女は遠い。
ファンのことを考えて、自分の気持ちを押し込める。そんなこと、自分には出来ない。
“『大人にならなあかんよ』”
大人になって、その先に何があると言うのだろう。
ひどく窮屈で暗い世界のようにしか今は思えない。
「…大人になんてなりたくない」
つぶやくと、翔吾さんは苦笑いをして肩をぽんと叩いた後、部屋戻るわと言ってリビングから出ていった。
取り残されて、もう寮の中は静まり返って、チカチカと何も知らずに光りつづけるツリーの電飾が目についた。
立ち上がって、パチンと消す。
暗闇に支配される空間。
雨はもうやんでいた。
夏の日、海で見たような、星は見えない。
東京の夜は、明るくて、空は霞んでいた。
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蘭の花(プロフ) - ちょこちっぷさん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます。私にとっても大事なこの作品が何か響いていたら幸いです(^^) (2020年3月25日 0時) (
レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - 久々に占ツク開いて初めに読んだ作品がこれでよかったです。占ツクで沢山の作品を読んできて、泣いたのはこれが初めてです。この作品を読めて幸せです。 (2020年3月23日 0時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - ガッツリ書いても全然大丈夫です！読みたいです！ (2019年11月3日 13時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
cocona(プロフ) - 全然大丈夫です！！読みたいです！！！ (2019年11月3日 4時) (レス) id: 6508ac86aa (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 書いて大丈夫です！！逆に書いて欲しいです！！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: c8d254b03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年9月27日 19時
