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「なんでいっちゃんと付き合わないん？お互い好きやのに」
「……この世界にいるから。」
「アイドルじゃないし、恋愛禁止じゃないんやからええやん」
「…事務所内恋愛禁止だし」
「ほんまに好きならHIROさん分かってくれると思うけど」
「……ここまで来れたのは…ファンのおかげだから。ファンを裏切ることは出来ない」
「……じゃあ…付き合う気はないん？」
「…そんなの答えられません…」
岩谷くんは、そっか。と言ってしばらく黙った。
それから2人で会場を出て、特に会話はせずに目黒川沿いをふらりと歩いて、それから「…Aちゃんの気持ちは分かるんやけど、いっちゃんも色々悩んでるから、それは分かってあげて欲しい」そんなの分かってるよ、わたしが1番
「…悩んでるのは樹くんだけじゃ、ない」
「……そっか、せやな。」
「…わたしは…樹くんに想われる資格なんてないんです…」
「なんでそう思うん？」
「樹くんに…何も返せてないから」
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“『…Aちゃんが頑張ってるの…伝わってるよ…？』”
6年前の、バックステージ
“『…見ててつらそう。ずっと無理して笑顔でいるの』”
ヤフオクドームの上に広がる灰色の雲、1年前
“『無理してない？』”
“『今から練習する気だったでしょ』”
“『…Aちゃんさ…泣いていいんだよ』”
マリンメッセ福岡の初日の、前の日の夜
“『…心配』”
“『…今日、カッコよかった』”
“『誰に見られたって構わない』”
手を握って、その手を引っ張られて、包まれるのは彼の広い胸の中
“『……好きだよ』”
しんどくて、辛くて、自分が自分じゃなくなった時、樹くんがくれる言葉はわたしの心を支えて、軽くして、明日また頑張ろうって思わせてくれた
「…Aちゃん。」
「………」
「いっちゃんのこと好きやねんな？」
「………」
くちびるからもれた息が、冷たい空気にひゅうと吸い込まれる。
岩谷くんの肩越しに、ぼうっと赤い光が遠くに見えた。
「好きです」
この言葉を伝えるべき相手は岩谷くんではない、と思っても、苦しくて、吐き出した。
「いっちゃんもAちゃんのこと好きなのは知っとるよな？」
「……」
迷ってからうなずいた。
岩谷くんはぎゅっとくちびるを噛み、下を向いてから顔をもう一度上げて、まっすぐにわたしを見ながら続けた。
「付き合う気がないなら、ハッキリさせてやって」
「………」
どくん、と叩かれたように胸が詰まった。
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蘭の花(プロフ) - ちょこちっぷさん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます。私にとっても大事なこの作品が何か響いていたら幸いです(^^) (2020年3月25日 0時) (
レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - 久々に占ツク開いて初めに読んだ作品がこれでよかったです。占ツクで沢山の作品を読んできて、泣いたのはこれが初めてです。この作品を読めて幸せです。 (2020年3月23日 0時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - ガッツリ書いても全然大丈夫です！読みたいです！ (2019年11月3日 13時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
cocona(プロフ) - 全然大丈夫です！！読みたいです！！！ (2019年11月3日 4時) (レス) id: 6508ac86aa (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 書いて大丈夫です！！逆に書いて欲しいです！！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: c8d254b03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年9月27日 19時
