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岩谷くんはわたしに何度も謝って、でもいっちゃんは大切な仲間だから、と優しく笑った。
胸が、誰かに掴まれたかのように苦しくなった。
彼とは何もなかった、最初から何も始まってないし、手を繋いで一回キスしただけだから、そう言い聞かせて、頭を落ち着かせようとした。
岩谷くんと別れてから
クリスマスで明るいムードに包まれる街で
撮影終わりの綺麗なメイクのまま、かわいいピアスをつけたままふらりと歩くと、マスクもつけてなかったからか何人かに声をかけられた。
渋谷ってやっぱり人多い
本当の気持ちを殺して生きていかなくてはいけない東京の街は、明るくて ざわめきに包まれていて 眩しすぎる。
それでも、高校生のわたしが今こうして仕事をもらって、高い化粧品と高いアクセサリーを身に着けて、アリーナでライブをして、
それは全部全部、ファンのおかげなのだ。
ファンがいなかったら、きっと違ってる。
そう自分に言い聞かせた。
携帯を取り出して、ツイッターを開く。
大きなクリスマスツリーとぼやけたイルミネーションの写真を撮って、一言『さむい』とアップするとすぐにたくさん返信が来た。
リアルタイムで更新するな、とマネージャーに言われていたのに
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A渋谷にいるの？！
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さっき見かけた！めっちゃかわいかった！
すんごいおしゃれしてたからデートかも
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え！やめて( ；；)
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恋愛に興味なさそう
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東京住んでる人いいなー会いたい
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Aはせつなげに流し目をすることを最近覚えたよねw
そこまでざっと目を通して、携帯を閉じた。
Bluetoothを繋げて、イヤホンを無理やり耳に突っ込む。
『教えて下さい あなたどうして 私のことを選んだのですか』
不意に流れ込んできた伶菜さんの歌声が、胸に突き刺さった。
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どうしよう。
明日からまた詰め詰めのスケジュールで年明けまで一気に仕事が入ってて、
なのに、
立っていられなくて
思わず座り込んだ。
腕を組んで街を歩く幸せそうなカップルが、羨ましくて、いや違う、憎みたくなった。
岩谷くんの言葉が脳裏にこびりついたままで
口を押さえたけど、爆発しそうな感情をすべて抑えることは出来なかった。
そうして、苦しい気持ちをもてあましたまま誕生日を過ごし、みんなに祝ってもらって「ありがとう」にっこり微笑んで
クリスマスを迎えて、樹くんからの電話を取った。
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蘭の花(プロフ) - ちょこちっぷさん» 嬉しいお言葉…ありがとうございます。私にとっても大事なこの作品が何か響いていたら幸いです(^^) (2020年3月25日 0時) (
レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - 久々に占ツク開いて初めに読んだ作品がこれでよかったです。占ツクで沢山の作品を読んできて、泣いたのはこれが初めてです。この作品を読めて幸せです。 (2020年3月23日 0時) (レス) id: cf6328cb96 (このIDを非表示/違反報告)
Knnnnn(プロフ) - ガッツリ書いても全然大丈夫です！読みたいです！ (2019年11月3日 13時) (レス) id: 8d750d6dbf (このIDを非表示/違反報告)
cocona(プロフ) - 全然大丈夫です！！読みたいです！！！ (2019年11月3日 4時) (レス) id: 6508ac86aa (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 書いて大丈夫です！！逆に書いて欲しいです！！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: c8d254b03b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年9月27日 19時
