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A「…健太くんを超えるとか、超えないとか、…勝つとか負けるとか、そういう話じゃないもん。」
壱馬「……」
A「…壱馬くん、健太くんに言われたって言ってたよね。…戦って、って。」
壱馬「…そうだけど」
A「…戦うってどういう意味？って、…あの時ちょっと思った…」
壱馬「……」
A「…あの時から、ずっと思ってた…」
壱馬は、声を発さずにただAの言葉を聞いていた。
A「…壱馬くんが好きなのは、…健太くんを追いかけてる私な気がしてしまって…」
壱馬「…」
A「…でも私が今言った気持ちに、健太くんは関係ない。…壱馬くんと今日一緒に過ごして、自分で考えて、…それで、…そう思ったから…」
壱馬「…」
A「…壱馬くんの気持ちに応えられなくて、ごめんなさい。…ほんとに…」
壱馬「…そういうことか」
壱馬は諦めたような口調でぽつりと呟いた。
壱馬「…確かにそうなのかもな」
A「……」
Aは苦し気に眉を寄せながら、そっと口を開いた壱馬の横顔を見つめた。
壱馬「自分でも、健太さんにはどうしても負けたくないって気持ちがすごく大きかった。」
A「……」
壱馬「…Aにそう思われても、仕方なかったかもしれない」
A「……」
壱馬「…でも、好きって思った気持ちは嘘じゃないから」
A「…うん」
壱馬「ハッキリ言ってくれてありがとう」
A「…こちらこそ…、ありがとう」
壱馬「…」
壱馬は、ほとんど沈みかけている陽を眩しそうに見つめ、ポツリと呟いた。
壱馬「…健さんが待ってるだろうから、行っておいで」
A「…壱馬くん。ごめんね…」
壱馬「…ごめんねじゃなくて、…ありがとうって言ってくれると嬉しい…」
A「…壱馬くん…たくさんたくさん、ありがとう…。本当にありがとう…」
壱馬「…うん。…ほら、行っておいで」
Aは涙を瞳に湛えたまま
その場から立ち上がった。
A「…ありがとう。今日…楽しかったです」
そうポツリと呟いた後、Aはゆっくりと歩き始める。
壱馬は離れてゆく後ろ姿を見ないように、水平線をぼんやりと見つめていたが、
不意に顔をゆっくりと動かして、遠ざかるAの後ろ姿を見た。
でも、Aは振り返らなかった。
一度も。
瞳を閉じて天を仰ぎ、大きく息をつく。
いつのまにか濃紺の空には
無数に散りばめられた星が瞬いていた。
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美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年7月22日 16時) (
レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
maho(プロフ) - 壱馬は純粋に主人公を本気で好きなんだろうけど、オオカミってパターンなんだと予想します。白雪のさなり、えいとみたいな、本気で好きになってしまった感じ。読めば読むほど壱馬がオオカミにしか見えないです報われてほしいんですけどね泣 (2020年3月21日 0時) (レス) id: da79567676 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 壱馬くんに報われて欲しいと思うけど、一番疑われずにいた壱馬くんがオオカミだったりして… (2020年3月20日 16時) (レス) id: 54d18da07d (このIDを非表示/違反報告)
りんな(プロフ) - 行動的に晴美ちゃんが無理なら主人公って言う風になった健太が怪しいけど、でもオオカミ？って聞かれた時違うってはっきり言わず信じてまでとしか言えてない壱馬がオオカミなのかなって…壱馬の一途な気持ちが報われて結ばれてほしいけど… (2020年3月20日 11時) (レス) id: ee9f08be42 (このIDを非表示/違反報告)
もえもえ(プロフ) - オオカミは陸と樹かなあ。途中まで健太と結ばれて欲しいと思ってたけど、主人公が行くのは壱馬 (2020年3月20日 10時) (レス) id: 9e80e7d8a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭の花
| 作成日時：2020年3月13日 19時
