1-�� ページ7
.
「いっちゃん、Aさんと仲良いん？」
E-girlsが立ち去ったあとに俺の肩を叩いたのは翔吾さんだった。
「…いや…知ってるんですか？」
「知ってるっていうか、有名な人やん」
「有名？」
「ちっさい頃からダンス上手くて有名やったよ。てか普通に事務所の先輩やし」
ちらりと彼女が歩いて行った方を見ればもう誰もいなくて、とりあえずスタッフさんの指示に従いステージに上がる。
武道館は大きく、広い。
彼女が見ている当たり前の景色はこんなに広く、底知れぬ暗闇なのかと、ふと恐ろしくなった。
THE RAMPAGE
暴れまわるという意味のグループ名。
もう、サポートダンサーではない。
EXILEのライブにキッズダンサーとして出たり、GENERATIONSのサポートダンサーとして活動する時代は、終わった。
これから自分たちがメイン張ってステージに立って踊って。
そうして回る武者修行も、その先にあるメジャーデビューへの道のりも、すべて思い描いてた夢物語だった。
.
…けれど本当は、
“『ダンスが好きって気持ちだけでわたしはやってける』”
あの時のことを、忘れてしまったのか。
あの気持ちも情熱もパワーも。何もかも彼女は、あの日に置いてきてしまったのか。
形良く整えられた眉に、ブラウンのアイラインで縁取られたアーモンドアイ。
くるりと上を向く睫毛と、ぷるんとした真っ赤な唇。
その全てが、別世界に行ってしまったかのように彼女の存在を際立たせていた。
そして
自信満々に歩き、踊り、髪をかきあげる仕草も、昔とは何もかもが変わっていた。
.
無理やり口角を上げた不自然な笑顔と、派手な衣装で、心まで覆い隠して、
「頑張ってね、じゃねえよ」
ぽつり、呟いた言葉は、広すぎる空間に静かに吸い込まれてゆく。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1269人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蘭の花(プロフ) - Lさん» 気づくのが遅くなりました汗 本当の小説のようなんて本当に嬉しいです。今後もまだまだ続くので、ゆっくり読んで下さいね(^^) (2020年5月8日 18時) (
レス) id: edbf778f76 (このIDを非表示/違反報告)
L - 今まで読んでいた夢小説の中で1番文章がしっかりしていて、言葉選びもほんとの小説のようですごく感情移入して読めました。この先どうなるのか気になってしまい、一気に読んでしまいました。続きも楽しみに読ませていただきます！ (2020年4月29日 20時) (レス) id: 3835f70abc (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - h_r_k_yさん» ありがとうございます(^^) (2019年9月23日 14時) (レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
h_r_k_y(プロフ) - 一気に読んでしまいました^ ^更新楽しみです！ (2019年9月23日 13時) (レス) id: 4d2b3f43a7 (このIDを非表示/違反報告)
蘭の花(プロフ) - ひかるさん» ありがとうございます(^^) (2019年9月14日 20時) (レス) id: 517b3b5b29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蘭の花
| 作成日時：2019年8月23日 21時
