三十五匹目 ページ36
sideうらた
静まり返った事務所の空気は冷たい海にでもいるような感じだ。
Aの事はまだ好きだけど、もう忘れよう。
彼女に嫌われたのなら、追いかけても無駄だろう。
そらる「ねぇ、うらたくん。ちょっといい？」
うらた「何ですッ！？痛ってぇ！」
いつの間に帰って来たのか、そらるさんに突然背負い投げをされた。
くそっ思いっきり背中打ったじゃねぇかよ！
そらる「ふぅ、どう？頭冷えた？」
うらた「は？言ってる意味が分かんないっすよ」
そらる「最近忙しくてイライラするのは分かるけど」
そらる「Aちゃんに八つ当たりしたらダメだろ」
うらた「俺達の事、何にも知らないクセに！」
うらた「アンタに偉そうに言われる筋合いはない！」
俺はそらるさんにムカついて、乱暴に胸ぐらを掴むとそれを天月が制止してきた。
天月「二人とも、喧嘩してる場合じゃないでしょ」
天月「うらたさんもそらるさんから手を離して」
うらた「っでも！」
天月「Aちゃんが出て行って動揺してるのは」
天月「分かってるから、少し落ち着いて」
俺は溜め息をついてからそらるさんから離れた。
ああもう、余計にイライラする。
坂田「うらさん、Aちゃんを追いかけなくて」
坂田「ええの？この雨の中やし、心配してへんの？」
うらた「チッ知らねぇよ、あんな勝手なヤツ」
うらた「どこでどうなろうが、知ったこっちゃねぇ」
嘘だ、本当は探しに行きたいって素直に言えない。
今だってAの事をものすごく心配してるのに。
そらる「あのさ、Aちゃんはうらたくんが」
そらる「帰って来るのを健気にずっと待ってたよ」
まふまふ「そうですね。寂しそうにしてましたよね」
志麻「俺にうらたさんの様子とか聞きに来てたしな」
センラ「え、まーしぃも？よう心配しとったよなぁ」
luz「オレは時々、無理して笑ってるの見かけたよ」
そらる「そんなAちゃんを追い出した」
そらる「うらたくんには罰としてしばらくの間は」
そらる「オルカに来なくていい。一応俺が代行で」
そらる「リーダーやるから。仲直りするまで出禁な」
うらた「はぁ！？何を勝手に…！」
仲間に言われるがまま、今度は俺が追い出された。
何だよ、全部俺が悪いみたいな言い方しやがって！
行く宛てのない俺は部屋に戻ってベッドに倒れ込む。
うらた「お前がいい。今もAが大好きだよ」
彼女のいない部屋は暗くて寒い。
あの温もりが恋しくて堪らない。
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ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2022年8月3日 10時) (
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作者名：やすちん | 作成日時：2021年2月8日 19時
