【urt】海の中で捜し求めていたのは君だった (ページ35)

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三十四匹目ページ35

いやいや、そんなはずないよね！？

だって写真に"会えなくて寂しい"って書いたりなんかしないし！

コウテイ「彼と会ったのは三年前の抗争時代よ」

コウテイ「ペンギンとオルカは会長様が属する組織」

コウテイ「裏協助会(りきょうじょかい)の傘下になる為に競ってたの」

コウテイ「彼に隙を突かれて致命傷を負ったから」

コウテイ「今まで姿を消してたんだけどね」

そんな事あったんだ、知らなかった。

あんなに強いコウテイさんに致命傷を負わせるなんてうらたさんってそんなにすごい人なんだ。

コウテイ「それに可愛いAを追い出すなんて事」

コウテイ「私は許せないわ！平手打ちされて当然よ」

A「ぐえぇ！苦しいです、コウテイさん！」

コウテイ「…Aは彼の事は好き？」

その質問に対して俯くとうらたさんがくれたアクセサリーが輝いていた。

付き合った記念日の度にくれた私の宝物で手放せないくらい、私はまだうらたさんが好きなんだ。

ポケットには返しそびれた彼の部屋の合鍵もある。

A「好きです、うらたさんの事を愛してるのに」

A「何で嫌いなんて言っちゃったんだろう」

A「寂しいの我慢してたけど、うらたさんに」

A「我儘言えなくて、ずっと待ってただけで」

A「私は本当に可愛げないっ」

コウテイ「そんな事ないわ。辛いのに偉かったわね」

私を優しく抱きしめてくれるコウテイさんは私の言葉を遮った。

そしていつもみたいに頭を撫でてくれて心地いい。

コウテイ「泣くほど好きなのね。健気で可愛いわよ」

コウテイ「気を遣い過ぎて心が疲れちゃうくらい」

コウテイ「優しいAを私はよく知ってるわ」

コウテイ「気の済むまで泣きなさい。今は私しか」

コウテイ「見てないもの。もう我慢しなくていいわ」

私はその言葉を聞いてしばらく泣いた。

泣いてたらスッキリしたけど、頭がボーッとする。

コウテイ「A、身体が熱いわ。風邪引いたのね」

コウテイ「お風呂で温まってゆっくり休みなさい」

コウテイ「その間に私は出かけるわね」

A「どこに行くんですか？」

コウテイ「もちろんオルカよ。私の可愛いAを」

コウテイ「こんなに傷付けたんだもの。文句を」

コウテイ「言いに行くだけよ。合鍵はあるのよね？」

A「はい。これがうらたさんの部屋の合鍵です」

合鍵をコウテイさんに手渡した。

どうしよう、コウテイさんすごく怒ってる。

私は止めずに見送った。