三十三匹目 ページ34
アイツのがまだマシって事は今もコウテイさんの事を想ってたんだ。
可愛げないのは知ってるよ、私の悪い癖だもん。
冷静な判断が出来ず、うらたさんを平手打ちした。
うらた「ってぇな。そんなに俺が嫌いなら出てけよ」
うらた「お前の顔なんか二度と見たくねぇんだよ！」
出会った時の冷たい声で怒鳴られた私は怯んだ。
嫌いって言うつもりはなかったのに、コウテイさんと比べられた事にムカついて口から出た言葉。
私、うらたさんに嫌われたんだ。
たくさんお世話になったけど、もうオルカにはいられないよね。
私はオルカを出て、冷たい雨の中に打たれながら逃げるように走った。
必死だったから前を見てなくて誰かとぶつかった。
コウテイ「あら、Aじゃない。どうしたの？」
コウテイ「ずぶ濡れで走ったら風邪引くわよ」
A「コウテイ、さん…！？戻ったんですか！？」
コウテイ「ええ。まずは、ペンギンに戻りましょう」
A「え、でも、ペンギンは…」
コウテイ「…知ってるわ。会長様に聞いたもの」
コウテイ「さ、行きましょう。ここは冷えるわ」
久々に戻ったペンギンは綺麗になっていて、荒らされた形跡がどこにもない！？
会長「こんばんは。頼まれた依頼は終わりました」
コウテイ「まあ、ありがとうございます。会長様」
会長「いえいえ、仕事ですから。それではこれで」
間違いない"あの人"だ、生きてたんだ！
私は彼の袖を引いた。
A「あの、私の事覚えてますか？」
A「数年前に人攫いから助けて頂いた者です！」
会長「え？ああ、覚えてますよ。『表』による」
会長「子供狩りで僕が必死に助けた女の子ですよね」
A「はい！あの時はありがとうございました！」
会長「いえ、お元気でそうで何よりですよ」
会長「それでは僕はこれで失礼します」
良かった、覚えててくれたんだ。
いつか彼に再会出来たらお礼が言いたかったんだ。
会長様は丁寧に会釈をしてお帰りになった。
コウテイ「それで？何かあったの？」
A「えと、実は、その…」
私は彼女がいなかった時にあった事を話した。
コウテイさんがうらたさんの事が好きだったなら、私に勝ち目はないし、答えを聞くのが怖い。
コウテイ「ふふっあははっオルカの彼が私を？」
コウテイ「あんな小柄シャチとか死んでもお断りよ」
A「…え？」
コウテイさんによる回答に私は思わず拍子抜けした。
それってつまり二人は想い合ってないって事？
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ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2022年8月3日 10時) (
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作者名：やすちん | 作成日時：2021年2月8日 19時
