【urt】海の中で捜し求めていたのは君だった (ページ2)

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一匹目ページ2

ここは「ペンギン」と呼ばれる「裏」の組織だ。

私はまだ修行中の身で護身術は覚えられたけど、銃や刃物の扱いは慣れるまでもう少し時間がかかりそう。

A「コウテイさんはどこに行ったのかな」

A「確か『オルカ』と交戦してたんだよね？」

A「はぁ、早く帰って来てほしいなぁ...」

リーダーが不在のまま、二ヶ月過ぎたのに誰も心配しないのは少し薄情だと思う。

女性だけで構成された組織はここだけで、時々男性に舐められる事もあるけど、皆は容赦なく返り討ちにする強者揃いだったりする。

アデリー「ねぇ、A。ちょっといい？」

A「はい。何でしょうか？アデリーさん」

この人はアデリーさんといって私の先輩。

キョロキョロと誰かを探してるみたい。

アデリー「ジェンツーを見かけてない？」

アデリー「出かけてからだいぶ経つと思うんだけど」

A「いえ。よかったら探して来ましょうか？」

アデリー「あら、助かるわ。最近物騒だからコレを」

アデリー「貸してあげる。気をつけてね」

A「分かりました。大切に使います」

私はアデリーさんに貸してもらった銃をホルダーに仕舞って窓から飛び降りた。

もうすぐ冬だから少し寒いし、暗くなるのも早い。

A「うぅ、いつもは誰かと一緒だったから」

A「夜の街を一人で歩くのはちょっと怖いな」

A「...もしかしてジェンツーさんって」

A「あの『オルカ』と遭遇してないよね？」

ありえないとは思うけど、そこのリーダーに遭遇したら必ず逃げるようにコウテイさんに言われている。

オルカのリーダーがどんな人物かは見た事ないけど、私達の敵なのは分かる。

どうか、誰にも遭遇せずにジェンツーさんを見つけられますように！

しばらく暗い夜道を歩いて行くと、血の匂いがして冷や汗が出て足が震える。

その匂いの先には知っている人が倒れていた。

A「ジェンツーさん！しっかりしてください！」

ジェンツー「う"ぅ、A...？来て、くれたの...？」

A「喋っちゃダメです！止血しないと...！」

ジェンツー「私の、事はいいから、逃げ、なさい」

A「嫌です！一緒に帰りますよ！」

ジェンツーさんを連れてその場から立ち去ろうとしたその時。

青年「そこのお前、俺の獲物を横取りする気か？」

私の背後に誰かがいたなんて気づかなかった。

そこにいたのはたぬきを肩に乗せた青年で、こちらに銃を向けていて、逃げられそうにもない。