第五十八夜 ページ9
A「…も、もう遅いので教会に戻りましょう」
A「うらたさんの手当てしないとですし」
うらた「ん。そうだな」
教会までの道のりをうらたさんと手を繋いで歩いた。
だいぶ距離はあったはずなのに、短く感じた。
luz「おかえり、2人とも。さかたんがおこだよ」
坂田「こんな時間まで何しとったん！？」
坂田「って、うらさんボロボロやん！どうしたん？」
うらた「あ〜、実はな…」
今日の昼間にあった事を坂田様とluz様に説明した。
町の人達がうらたさんに怪我させたのは驚いた。
坂田「なるほど。魔族に偏見あるから難しいなぁ」
luz「今まで通り、夜だけ出歩けばいいと思うよ」
うらた「やっぱそうだよなぁ」
坂田「本部にはうらさんの事は黙秘しとくわ」
luz「せっかく結ばれたのに離れたらダメだしね」
A「すみません、お願いします」
話が終わり、うらたさんの手当てをした。
石を投げられただけでもたくさんの痛々しい怪我を見ていて辛くなった。
禁断症状が出てもなお、正気を保っていたにしても、どれだけ痛くて辛かったんだろう。
うらた「A？どうした？」
A「あっ、いえ。何でもないです」
うらた「…大した怪我じゃないから気にすんな」
うらた「魔界でよく怪我してたから俺は慣れてる」
A「私が早く止めていれば…こんな事には…！」
涙が溢れそうになると、大きな手が頭に触れた。
そしてゆっくりと撫でてくれる。
うらた「ありがとう。その気持ちで充分だ」
うらた「Aは本当に優しいな。偉いぞ」
うらた「ほら、おいで」
A「…ッ！」
うらたさんは腕を広げて微笑んでいる。
今だけ甘えていいですか？
A「…もう、あまり怪我しないでください」
うらた「うん。努力する」
A「勝手に、いなくならないでください」
うらた「Aからもう離れる気はないから大丈夫」
A「本当ですか…？」
うらた「ああ。神様に誓ってもいいぜ」
A「…えいっ」
その腕の中に飛び込んだ。
結構勢いがあったのに容易く受け止めてくれる。
うらた「っと。よしよし、不安にさせてごめん」
うらた「みっともない姿を見せてごめん」
うらた「でも、俺を見つけてくれてありがとう」
うらた「Aが来てくれた時、すげぇ嬉しかった」
うらた「俺の事、好きになってくれてありがとう」
その言葉一つ一つに想いが込められていて、抑えるつもりだった涙が溢れて止まらない。
大好きです。
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
