第九十五夜 ページ46
よかったぁ、これでやっと混合宣誓出来るんだ。
教皇様は怒るとすごく怖いって坂田様が言ってたからどう対応しようかを考えたけど、杞憂だったみたい。
さっきまで床に横たわらせていた教徒達を医務室の方々が運んでいる。
教皇様は儀式の準備を整えるらしく、その場から退室なさった。
A「教皇様が寛大な方でよかったです」
うらた「ああ、本当にな。さすがに焦ったって痛！」
坂田様がうらたさんの頭を叩いた。
すごい音したけど大丈夫でしょうか…？
坂田「何を悠長にしてんねん。教皇が戻られる前に」
坂田「早く言わんとやろ。世話のかかるのは」
坂田「Aだけで充分やのに。これやから全く」
うらた「うっせぇな、分かってるっての」
A「え？どうかしましたか？」
私に言わないといけない事って何？
昨日からluz様や天月さんは楽しみにしてての一点張りで、何やら隠し事をされてるみたいで首を傾げる。
緊張してるのか、うらたさんは深呼吸してから真剣な表情になった。
うらた「Aに伝えたい事があるんだ。本当は」
うらた「混合宣誓が終わってからにするか迷った」
うらた「さっきみたいに俺の事を認めない連中が」
うらた「居たとしても、Aとずっと傍にいたい」
うらた「一番近くで守らせてほしいんだ」
うらた「こんな俺だけど、もう悲しませたりしない」
うらた「Aを誰よりも幸せにしてみせるから」
うらた「結婚しよう」
え、ぇぇえええええ！？////
しかも、うらたさんは懐から小さな箱を取り出して、その中を開けると指輪が二つ。
四葉のクローバーの模様が刻まれていて、小さな翡翠の宝石が散りばめられたシルバーリング。
こんな物が用意されていたなんて聞いてない！
A「私なんかで、いいんですか…？」
うらた「ちょ、A！？どうした！？」
嬉しさのあまり、無意識に涙が溢れてしまって顔を覆って見られないように隠す。
A「すみません、びっくりして…」
うらた「それはいいけど、さっき何て言った？」
A「えぇと、本当に私なんかでいいんですか？」
うらた「当たり前。もちろんA以外はお断りだ」
うらた「…返事は？」
そんなのとっくに決まってる。
A「私なんかで良ければ、これからも末永く」
A「よろしくお願い致します…！」
うらた「ん、こちらこそ、よろしくな」
契約だけじゃなくて、婚約までも出来るなんて思ってもなくて、まるで夢を見てるみたい。
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
