第五十四夜 ページ5
A「天月さん、ありがとうございます」
A「何だか気持ちが落ち着きました」
天月「どういたしまして。頑張ってね」
すごいなぁ、天月さんは。
説得力あるし、アドバイスも分かりやすいから相談しやすくて助かった。
A「また何かあったら相談してもいいですか？」
天月「もちろん。いつでも相談に乗るよ！」
A「ありがとうございます！」
天月「あ、そうだ。新作の人形出来たんだ」
天月「結構自信作なんだけど、どうかな？」
A「わぁ！可愛いです！」
前に見せてもらったのも素敵だったんだけど、今回のは顔は私に似ていて、可愛らしい服を着ている。
天月「それはよかった。あと、子供達には内緒ね」
A「分かりました！来週まで内緒にします！」
天月「うん。それじゃ、俺は帰るね」
A「はい。それでは失礼します」
天月さんと別れた後、散歩も兼ねて町を歩く。
今日は昼間から雨が降るので傘を持っているが、遅くならないようにしないと。
何だろう、町の人達が集まってる？
人が多くて見えないし、何やら騒いでるみたい。
A「あの、どうされましたか？」
モブA「さ、さあ？私たちにもよく分からなくて」
モブB「聖女様は近づかない方がよろしいですよ」
A「はぁ、そうですか」
もし、危ない事になってたら坂田様に報告するけど、大した事はないみたいだからいいのかな？
モブC「やっとどこかに行ったか。あの魔族」
モブD「こんな昼間にたぬきと出歩くなんてな」
モブE「教会の周りにうろついてたらしいぞ」
モブF「聖女様に近づかせないようにしないとな」
魔族、たぬきと、教会の周り、私？
もしかして、うらたさんの事！？
そうだとしたら、全て当てはまるはず。
昼間に出歩ける魔族はセンラ様でなければうらたさん以外ありえない。
探さなきゃ。私の勘違いならそれでいい。
A「どこにいるんだろう。ここにもいない」
うらたさんの隠れ家はもぬけの殻でいなかった。
郊外もだいぶ探したけど、見つからない。
急に雨が降り出した。
このままじゃ、うらたさんとやまだぬきちゃんが風邪を引いてしまう。
まさか、町の人達が追い出したとか？
あの様子ならきっとそうかもしれない。
傘を差して急いで町を出た。
そこには寂しそうに泣いているうらたさんがいた。
よく見ると出会った時と同じように怪我をしていた。
早く手当てしないと体にも悪い。
私はゆっくりとうらたさんに近づいた。
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
