第八十二夜 ページ33
A「え？」
私がまふくんを助けた？
うーん、思い出せないなぁ。
まふまふ「その様子だと覚えてないみたいだね」
そらる「Aちゃんの記憶が曖昧なのおかしいな」
まふまふ「…おそらく消されてるかもしれないです」
消さ、れてる？
確かに私は両親の顔もどこで住んでいたかも分からないけど、坂田様に拾われた日からは記憶がある。
志麻「は？誰に？」
センラ「多分本部の人間やろな。特に孤児の場合は」
センラ「聖職者に出会う前の記憶を抹消するらしい」
センラ「理由は分からんけど、噂で聞いたんよ」
それでもまふくんの事は思い出せたのはなぜ？
完全には消されていない？
まふまふ「子供の時に人間界に来た事があってね」
まふまふ「うっかり聖職者に見つかちゃって」
まふまふ「傷は浅かったけど、怪我をして倒れてた」
まふまふ「僕を助けてくれたんだよ」
A「そうだったんだ。ごめんね、覚えてなくて」
まふまふ「ううん。いいんだよ」
まふまふ「あの時はすぐにお別れして言えなくて」
まふまふ「後悔してたんだ、ずっと」
まふまふ「本当にありがとう。Aちゃん」
私の記憶がなくてもまふくんは長い間ずっと覚えていてくれた。
まふくんといた時間は少ししか思い出せないけど、楽しかったんだろうな。
A「どいたしまして。そういえばお店は？」
そらる「あの店ならたまに魔界に戻ってやってるよ」
まふまふ「僕達は夢を扱うからね。絶対やめないよ」
人間界と魔界を往復するのは大変そう。
でも、大事なお仕事だから続けられるんだよね。
A「すごい！頑張ってるんだね」
A「私も負けてられない。儀式クリアしないと」
志麻「おお！気合い入ってんなぁ！」
センラ「ほな、Aちゃんのお菓子食べようや」
A「遠慮せずにたくさん召し上がって下さいね」
皆さんは一口食べると「美味しい！」と言ってくれて嬉しくなった。
これくらいしか恩返し出来ないけど、喜んでもらえてよかった。
センラ「おっとあんま長居させたら坂田が怒るから」
センラ「Aちゃんを教会まで送ってくるわ」
志麻「はいよ。それじゃ、またな！」
まふまふ「お菓子すごく美味しかったよ！」
そらる「明日頑張ってね。おやすみ」
A「はい！それではおやすみなさい」
外はまだ暗くて、月明かりが足元を照らす。
この数日間の儀式は大変でキツかったけど、元気を頂いたから、明日は気合いを入れて頑張ろう！！
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
