第七十七夜 ページ28
お願い、早く3時間経って…！！
このままじゃ、うらたさんが危ない。
ずっと詠唱をしてるけど、少しずつ聖水に身体が慣れてきて集中出来るようになってきた。
うらたさんと手を繋いだ状態でお互いふらつきながらも途切れずに進めている。
やまだぬき「あと一分だよ！」
センラ「ゲッ、いつの間に俺の肩におったんや！？」
坂田「黙れ胸毛」
luz「2人とも静かに」
あと一分という長いようで短い時間に力が入る。
大丈夫、私達ならやりきれる。
坂田「3時間経った！2人ともそこまで！」
luz「ゆっくりでいいから上がっておいで」
よかった、無事に儀式が終わったんだ。
乱れる呼吸を整えてから聖水からようやく出られる。
A「うらたさん、先に上がってください」
うらた「そう、させて、もら、う」
先にうらたさんを上がらせてから私も出る。
もう二度とこの儀式やりたくない。
うらた「ゲホッ、はっ、はっ」
うらた「悪い、また、禁断症状が、出た」
うらた「少しでいい、血を、飲ませて、くれ」
うらた「身体が、熱くて、おかしく、なりそ…」
A「わ、私ので良ければどうぞ！」
うらた「儀式で、疲れてんのに、ごめん、な」
真っ青な顔色をして謝らないで。
確かにだいぶ疲れてるけど、うらたさんよりはマシ。
うらたさんは私が痛くないように優しく首筋を噛んで吸血する。
A「んっ…や、あ…！」
うらた「ッ…んん、ふ、んっ…！」
声を抑える力もなくて、私とうらたさんの甘い声が地下中に響いて恥ずかしい。
センラ「頼むから場所を考えてやってくれ…」
坂田「うらさん、Aは貧血やから気をつけてな」
luz「オレらは先に戻っとくね…」
見るに堪えない坂田様達は一瞥もせず地下から立ち去ってしまった。
まあ、視線がないほうが今はありがたいかも。
うらた「ん、ご馳走様。っておい！？」
A「すみません、力が抜けてしまって…」
思ってたよりも吸血されてうらたさんにもたれる。
も、もう無理。
うらた「ご、ごめん。吸いすぎたよな…」
A「い、いえ。私が言い出したので大丈夫です」
うらた「俺が運ぶからそのままにしてろ」
A「え？ちょっ」
うらたさんは軽々と私をお姫様抱っこする。
さっきまで元気がなかったのに完全に復活している。
うらた「可愛い声出すなよ、バカ」
うらた「その気になりそうだっただろうが」
A「え？何の事でしょうか？」
その気ってどういう意味ですか？
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
