第七十一夜 ページ22
sideうらた
順調に魔族を倒していくAを見て安心した。
俺がいなくなったあの日からたくさんの努力をしたんだろうな。
これから先もずっとこうやって背中合わせで戦える事が特権になるからピンチでもすぐに駆けつけられる。
だいたい半分以上は片付けられたはずだ。
よし、もう少しで終わるな。
突然茂みから人間の子供が出てきた。
それに気づいた魔族がその子供を人質に取った。
A「その子から離れなさい！」
魔族B「このガキを助けたかったら見逃せ」
A「何を言って…！？」
チッ、余計な真似しやがって。
やってる事がカス以下だな。
うらた「見逃したら俺たちにメリットあんのか？」
魔族B「ある訳ないだろ、バーカ」
決めた、コイツを見逃すより殺す。
Aにそっと耳打ちした。
うらた「あの子供に加護を付けてやれるか？」
A「付けられますけど、距離が遠いです」
うらた「分かった。俺がアイツの隙を作るから」
うらた「その間に出来そうか？」
A「やってみます」
十字架を握り締め、詠唱を始めるA。
A「聖女として汝に祝福を、救済を授けよう」
A「邪なる災いから汝を守りたまえ」
魔族B「な、なんだ？あの女は？」
魔族B「お前らやっちま…！？」
うらた「てめぇの相手は俺だ。さっさと子供を離せ」
なるべく子供に当たらないように攻撃を仕掛ける。
俺の攻撃をわざと躱させて隙を作る。
魔族B「くっ…！邪魔だガキ！」
子供「うわぁ！？」
木々に背後を阻まれ、追い込まれた魔族は子供を突き飛ばした。
うらた「今だ！やれ、A！」
A「はい！さぁ、もう大丈夫ですよ」
A「我が汝を傷つけさせない事を誓おう」
子供を優しく抱きしめて加護を付けたAはとても聖女として相応しく思えた。
神々しくて、美しい聖女になっていたAはわずか半年という短い時間で成長していた。
魔族B「あの女、聖女だと…！？」
うらた「そういうこった。失せろ」
魔族たち「ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞ！！」
ヤツを含め残りの連中を一掃した。
大したことの無い雑魚を相手にしたから胸糞悪い。
A「お疲れ様でした！うらたさん」
うらた「Aもお疲れ。よくやったな」
子供「あの、助けてくれてありがとう」
A「いえいえ。怪我はありませんか？」
子供「うん」
うらた「この森に魔族が出るの知らなかったのか？」
子供「知ってたけど…」
何か事情があるみたいだな。
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
