第六十六夜 ページ17
sideうらた
あんなに手こずってたにも関わらず、全員ボロボロだが、俺とセンラに続いて夢喰いの2人も人間界へ行くことになった。
センラ「ほらほら、もたつかんではよ来て」
うらた「…大丈夫か？まふまふ」
まふまふ「ひ、久しぶりに動いたら筋肉痛が…！」
そらる「たまには外に出ろって言ったじゃん」
まふまふ「えぇ！？ちゃんと外に出てますよ！？」
そらる「夢の中は外にカウントしないからな」
まふまふ「そんなのあんまりですよ…」
肩で息をするまふまふはゆっくり歩いている。
そらるさんはまふまふの様子を見ながら歩いては止まって待ってあげている。
センラ「あ、俺志麻くんに何も言わずに来たの」
センラ「忘れてたわ。やってもた…」
うらた「おいおい、お前一応領主なんだろ！？」
うらた「仕事はどうしたんだよ！？」
センラ「も〜、坂田と同じ事言わんといてや」
センラ「ちゃんと2足のわらじ出来てますぅ」
うらた「あっそ」
長い道のりを歩いてようやく人間界の扉へ着いた。
もう魔界に戻る事はないだろう。
俺の故郷だけど、未練なんてないしな。
センラ「帰って志麻くんに謝らないと…」
うらた「まーしぃはあんま気にしてなさそうだけど」
センラ「そうやとええなぁ」
そらる「すまん、遅くなった」
まふまふ「膝が、笑ってる…」
センラ「夢喰い2人は着いてきてええんですか？」
そらる「うん。センラさんの家でお世話になるから」
まふまふ「センラくん、よろしくね！」
センラ「えぇ…まぁ、いいですけど」
うらた「お前ん家広いから人数増えてもいいだろ」
センラ「せやね。同じ魔族のよしみという事で」
そらる「おお〜、センラさん優しい」
まふまふ「やったー！」
全員が扉を通り抜けると、見覚えのある景色。
センラの屋敷だけど、前と変わっていない。
うらた「…皆ありがとな。俺のために」
そらる「いいって事よ」
まふまふ「Aちゃんを幸せにしなかったら」
まふまふ「許しませんからね？」
センラ「はいはい。とりあえず教会に行きましょか」
うらた「おう！」
あの日からどれだけ時間が経っただろう。
どれだけの長い時間でAを悲しませたんだろう。
早く会いたい、ただいまって言いたい。
抱きしめて安心させてあげたい。
もう二度とAから離れたりしないって。
教会に辿り着くと、明かりは付いている。
俺は深呼吸してからあの日と同じように扉を叩く。
ずっと長い間待たせてごめんな。
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
