第六十五夜 ページ16
sideうらた
チッ、なんて数だ。
何回倒してもキリがねぇ。
うらた「ふざけんなよ、てめぇら…！」
センラ「このままやとマズいで。うらたん」
うらた「分かってるよ、んなもん」
センラ「俺もそろそろ魔力が尽きそうや…」
うらた「ここでくたばるんじゃねぇぞ」
センラ「当たり前や。舐めんといてや」
強がりならいくらでも言える。
一体どこから沸いてるんだコイツらは？
まさか、魔王の差し金か？
うらた「神様に嫌われんてんな、俺」
うらた「どいつもこいつも邪魔ばっかりしやがって」
うらた「本当なら今頃Aと一緒にいるはずだ」
うらた「それなのに…！！」
こんな所で時間を取れば取るほど、人間界との時差が広がる一方だ。
早く戻らせてくれよ、頼むから…！
まふまふ「もう、何してるんですか！」
そらる「見てられなくて来ちゃった」
腰に両手をついてお怒りのまふまふ。
その隣で気だるげに現れたそらるさん。
うらた「戦闘に参加しないんじゃ…？」
まふまふ「ええ。もちろんそのつもりでしたよ」
まふまふ「でも、この連中を片付けるのに時間を」
まふまふ「かけすぎです！仕方なしで参戦します！」
そらる「上級魔族2人でこれはないでしょ」
…ぐうの音も出ないです。
それでも駆けつけてくれたのはありがたい。
まふまふ「それにAちゃんが悲しんでますよ」
まふまふ「うらたさんが傍にいてあげないと」
まふまふ「夢の中でずっと泣いてるのを見たんです」
そらる「そうだぞ。俺らは見てて心が痛かったよ」
Aをそこまで悲しませるほど待たせてたのか。
幸せになってほしいけど難しい問題だったらしい。
センラ「うらたんが悲しんでる場合ちゃうで」
センラ「ここを突破するんやろ？」
センラ「Aちゃんに会いたいなら急がないと」
センラ「坂田に盗られてしまってもええんか？」
そういえば坂田はAに告白していた。
俺がいなくなった今ならチャンスだろう。
うらた「…いいわけねぇだろ。誰にも渡さねぇよ」
うらた「俺の恋人だぞ？今度こそ絶対に幸せにする」
聞いてるか？神様？
もう思い通りにはさせねぇからな？
センラ「いつものうらたんに戻ったな。よかった」
まふまふ「やれやれ。困った人ですね」
そらる「そんじゃ、いっそ暴れてやりますか」
追放されたあの日とは違ってもう1人じゃないんだ。
夢喰いの2人も上級魔族だから充分強い。
お互い協力したおかげで無事に脱出できた。
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
