第六十三夜 ページ14
うらたさんがいなくなっておよそ半年は過ぎた。
お別れの日から坂田様とluz様と一緒に聖女としての仕事をひたすら頑張った。
最近では私1人で魔族を倒せるくらい強くなった。
夜になれば会えるはずのうらたさんはもういないけど、やまだぬきちゃんがいてくれる。
泣きそうになるくらい寂しい日々が続いたけど、いつまでもそうしてられない。
坂田様やluz様や天月さんにこれ以上心配はかけたくなくて堪えるようになった。
いつか会えるんじゃないかって今でもそう思ってる。
また怪我をして教会の前で倒れてるんじゃないかって期待もしてる。
うらたさんに幸せになれよって言われたけど、そう簡単に出来るわけがない。
また会いたいって思っちゃいけないの？
もう二度とあの笑顔は見れないの？
お願いします、神様。
ほんの一瞬だけでいいからうらたさんに会わせて…！
【ドンドンドンドン！！】
坂田「なんや？珍しいな、こんな時間に」
luz「さかたん。この気配は人間じゃない」
坂田「分かっとるよ。センラか志麻くんやろ」
luz「Aちゃんが危ないじゃん」
坂田「あの二人はAに害を与えへんから大丈夫」
怪訝そうなluz様とよそに坂田様が扉を開けた。
そこにはしばらく会ってない志麻さんがいた。
志麻「なぁ、センラここにおる？探しとるんやけど」
坂田「アイツなら来とらんよ。どうしたん？」
志麻「屋敷中探してもおらんのよ。珍しく外出中」
坂田「ふーん。他に用ある？」
志麻「ないからAちゃんと話に来た。暇やし」
luz「さかたん、どういう事？説明して？」
坂田「あ〜、話せば長くなるから後でな」
A「お久しぶりです。志麻さん」
志麻「おお、これが噂の聖女様か〜」
坂田「まーしぃ、近い。Aと話してもええけど」
坂田「変なマネせんといてな？頼むで」
志麻「何もせぇへんから安心しぃ。過保護やな〜」
話せる場所がないので、私の部屋へ案内した。
坂田様とうらたさん以外入れたのは初めてだ。
志麻「調子はどう？元気にしとった？」
A「はい。おかげさまで元気ですよ」
志麻「うらたさんやと思って期待した？」
A「…少しだけ。でも、もう慣れました」
嘘だ。そんなわけない。
この時間に訪れるのはうらたさんしかいないのに。
志麻「そうなんや。でも、嘘つかんでもええよ」
どうして分かったの…？
志麻さんのその言葉に何も言えなくなってしまった。
やめて、これ以上優しくしないで…！！
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
