第六十一夜 ページ12
sideうらた
最後までAの温もりを感じたまま、さようならと告げて意識を閉じた。
短い間だったが、充分幸せだったと思う。
消滅する寸前でお互いの気持ちが通じてよかった。
俺は生まれ変わっても何度でもAに会いに行く。
これは決定事項だ。
今度は普通の寿命にしてくれよ？神様。
そらる「うらたくん、神様じゃなくて俺ならいるよ」
うらた「…ッ！！はぁ！？そらるさん！？」
目を開けると、どうやら死後の世界ではなく、夢の中にいたらしい。
そういえば、肩に乗ってるはずのやまだがいない。
消滅したのって俺だけ！？
そらる「それよりもAちゃんの事はいいの？」
うらた「よくない！けど、何でここに…？」
そらる「あ〜、何にも聞いてなかったんだ」
は？どういう事かよく分からないんだが。
そもそも俺はどうやって助かったんだ？
うらた「俺は魔界を追放されてから消滅されるはず」
そらる「そのはずだったけど、センラさんがね」
そらる「うらたくんの罪を取り下げたんだよ」
そらる「喰種は魔族の中でも階級が高いから」
そらる「余裕でなんとか出来たらしいよ」
そうだったのか…！
魔界に戻った時に実家に帰るとか言ってたのはこういう事だったんだ。
てか、俺はセンラに追放されたって話してないよな？
うらた「ゲッ、俺は坂田とセンラに貸し作ったのか」
そらる「まぁ、そういう事になるね」
うらた「でも、もう戻れないから返すのは無理だな」
そらる「何言ってんの？全然戻れるけど」
うらた「こんな時につまらん冗談やめてください」
そらる「え、マジなんだけど。センラさんもいるよ」
センラ「やっほ〜、今来たです〜」
扉の向こうからひょこっとセンラが現れた。
聞きたい事がたくさんあるけど、今度でいいか。
うらた「ありがとな、センラ。俺を助けてくれて」
センラ「お易い御用やで。Aちゃんの為やしね」
センラ「でも、うらたんの大罪を取り下げたけど」
センラ「それを良しと思わん輩がおるんよ」
センラ「その話をこの間そらるさんに相談して」
センラ「今に至るわけやねん」
そらる「ここから出れば戦闘は避けられない」
そらる「それでもAちゃんに会いたい？」
せっかくこのチャンスが来たのに簡単に諦められるわけないだろ？
どんな輩だろうと突破してやる！
うらた「もちろんです。センラ、背中は任せたぞ」
センラ「その意気やでうらたん。俺に任しとき！」
そらる「決まりだな」
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作者名：やすちん | 作成日時：2020年5月28日 10時
