真実。 ページ10
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脳ではわかってるはずなのに心が理解をしようとしなかった。
嘘であってほしいという気持ちがどうしてもあった。
一瞬でも運命と感じてしまった自分がすごく恥ずかしくなった。
彼は怪しい笑顔でずっと話していた。
「や、だな、。」
私は自分の鋭い勘を恨んでしまいそうだった。間違いならいいのに。ということが脳みそを占めている。
元気のなくなった足でさっきまでいた場所で彼を待つ。
平然と。何も無かったように。
数分すると彼がが戻ってきた。
Zm「すまんな、」
眉を下げて言ってくる。
「ううん、大丈夫。」
得意の作り笑いで誤魔化した。
________
気がついてたのだろう。私が居たことは。
彼は急に私を人気のないところへ連れてった。
Zm「なぁ、」
俯き、さっきよりも少し低い声で私に語りかけた。
「なに？」
なんにも知らない振りをして、馬鹿みたいな笑顔を向けて聞く。
実際馬鹿なんだが。
Zm「Aは、気づいてるんやろ、」
「なんのこと、」
Zm「ほんまにいってる？」
「…なに、」
少しずつ長くなってく沈黙の中で、亀が歩くように話が進んでいく。
勘がいいのは彼も一緒だ。
少しの変化でも気がついてしまうのだろう。
ス、と私の頬は体温に触れた。
Zm「なぁ、」
私を見下げる彼の翠色の瞳はどこか泣き出しそうな瞳をしているようで、冷めているような瞳にも感じられた。
ゾクリと背中に何かが通る。
あぁ、無理なんだ。隠せるわけがないんだ。
「……ねぇ、ぞむ、ひとつ質問していい？」
少しなれたタメ口。
「ゾムはさ、」
声が震える。
「ゾムは、」
ギュッ、服を掴み、恐怖心からタラ、と垂れる額の汗。
「…スパイ…なの、？」
少し鼻声になっているのが自分でもわかった。目の前は歪んで、全身が震えている。
スパイであることが本当だったとき、私は、殺されるのだろうか。
彼は昨日あったばかりなのに、彼に何もかもを占領され、彼のために涙を流している。
馬鹿なんだよ。私は。
だからさ、はやく、殺してくれないか。
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作者名：狐兎 | 作成日時：2021年2月14日 23時
