涙。 ページ11
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恋というどうしようもない感情に溺れ、叶わない恋だと、心が悲鳴をあげ、絞められる。
目の前の彼の表情は見えない。
Zm「うん、」
軽く聞こえた声色。
彼は私の手をとり、そうやで、と私の聞き間違いではないと言うようにまたそう言った。
恋という色はピンクなのだろうか。
今、私の感情は何色なのだろう。
優しい瞳で私を見つめているゾムの目の前でただ泣いている私。
泣きたくなんてなかった。
カッコ悪いから。
頑張って涙をぐっ、と堪えようとしてもダメで、服で拭うしかない。
両手を顔に当て、泣き顔を見られないようにしていると、フワッと優しい匂いに包まれる。
決して香水ではない暖かい匂い。
Zm「なにそんな泣いとんねん、」
「殺してよ、」
Zm「いやや、」
耳元で聞こえる優しい声にまた泣きそうになる。
たった２日。
２日でこんなにも世界が変わってしまうのか。
こんな思いになるなら会いたくなんてなかった。声なんてかけなきゃよかった。
一目惚れなんて、しなきゃよかった。
1日目で恋をし、２日目で叶わぬ恋と知る。
Zm「なんで、泣いてん。」
何回も聞かれるその質問に、グッと唇を噛んでから、
「…、すき、だからだよ、」
そう答え、続けて、
「馬鹿だよね、知ってる。一目惚れなんて言ったら、引くでしょ？でも、もう、無理なんだよ。好きなんだよ、殺してよ。」
そう言う。
ギュッと抱き締める力が強くなった気がした。
Zm「馬鹿やな、ほんと。」
そう言って、私の髪の毛をかきあげ、唇があたった。
「同情？」
Zm「ちゃう、」
「なんで、殺さないの、知ってるんだよ、殺した方がいいでしょ、」
Zm「そうなんやけどさ、いやや。」
「だから、なんで、」
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「すきやから？」
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作者名：狐兎 | 作成日時：2021年2月14日 23時
