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あの後、結局何事もなかったように、先輩と飲んでる。
あの甘い雰囲気が無かったみたいに。
まあ、こうやって話せているのは、お酒のおかげなのだと改めて思ったりもして。
話の内容は、昔やらかした時のことととか、第一印象がどうだったとか。
ゾム「いやあ、あん時の雨宮の焦りようったら、おもろかったなあ」
「うるさいですよ！あの時はほんとやらかしたって思ったんです!!それなのに、先輩ずっとこっち見て笑ってるし!!!」
あの時は、相当焦っていた。
その日は会社員になって初めての残業ラッシュなるものに追われており、気が滅入っていたというのに。
ゾム「もう、涙目になりながら『先輩、どうしよう…』って。あん時くらいやろ、雨宮がミスったって思ったんは」
クツクツと笑う彼はとても楽しそうだ。
ミスったって『思った』というのも、
実は、取引先に送るためのメールを作成していたところ、課長に呼び出されて、一時デスクを離れていた。
だが、戻ってきたときに、相当疲れていたのだろう。
メールをそのまま、取引先に送ってしまったのだ。
送った後に、やってしまったことに気づき、先輩であるゾムさんに即報告したのだ。
かなり慌てながら。
その時の自分ときたら、軽くパニックになっていたと思う。
だが、それを聞いた先輩は
ゾム『あー、俺が書き上げといたけど…』
それを聞いて、固まる私と先輩。
ゾム「かなり疲れてやったみたいやし、デスク勝手に借りて書き上げといてん。雨宮びっくりするんかなあって報告待っとたら、めっちゃ青くなって報告来るんやもん、おもろかったわあ」
その後、大笑いする先輩と、膝から力が抜けるように崩れ落ちた私は、絶対、互いに報連相を欠かさないという誓いをたて、その場を収めた。
「ほんともう二度とやらないでください。もしやるんだとしたら…」
ゾム「『報連相』やろ？流石に黙ってはもうやらんわ」
と、まだ笑っている先輩を尻目にジョッキを煽る。
まあ、一番悪いのは私なのだが。
それに、デスクに戻って来た時、無意識に文面を確認していた。
その時、先輩が書いたとまでは思っていなかったが、全文書き上がっている文面を見てから送った。
その送った後に、全文書いたっけ…、となったのだ。
全て自分のミスだし、あの慌てぶりといえば、今思い出しても恥ずかしい。
それでも、こうやって笑えているのは、先輩が笑いごとにしてくれているおかげなのかもしれない。
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作者名：泡沫羊 | 作成日時：2019年9月29日 0時
