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ゾム｢おはよ｣
いきなり現れた先輩に、内心驚きつつも、いたって普通に
｢おはようございます｣
と、返す。
まったく、忍者かよ。
なんて内心毒づきつつ、驚かない私を見て、先輩は不服そうだ。
ゾム｢ちょい驚きが足りへんかったか……｣
と、思案顔をかます。
｢朝からヘビーなんですよ。内心ビクビクだったんですから｣
ゾム｢リアクションくらいとれや｣
つまらんやんけ……、などと零す先輩は、初日の昨日に比べるとはっちゃけてるように見える。
実は昨日緊張してたりしたのだろうか。
ゾム｢なんや？顔についとる？｣
少しぼうっと眺めてしまっていた。
｢なんもついてないですよ。相変わらず悪い笑顔してますね｣
ゾム｢しれっと悪口入れてきたな……｣
あっ、と気づいたように声を上げる先輩。
｢……？どうかしました？｣
ゾム｢あー、いや、今日私服なん珍しいなあ、思て。……似合っとる｣
……。
まあた、これだよ、人間たらしめ。
自分のかっこよさわかってやってるのでは？
というか、その照れ笑いやめて、心臓に悪い！！
｢…っ…誰にでも、そう言うのやめた方がいいと思います……！｣
赤くなった顔を誤魔化すように、俯きつつ答える。
どうしてくれるんだ、まったく！！
ゾム｢誰にでもなわけ、ちゃうんやけどな……？｣
と、顔を覗き込まれそうになる。
勘違いしてしまいそうだ。
｢あっ、ゾムさん、おはよーございまーす！｣
他の女子社員の声だ。
チラリと先輩がそちらに視線を向けたのがわかる。
チャンスだ。
｢じゃ、お先します｣
この隙に逃げる。
危ない、危ない。
こんな顔なんて見られたら、
｢バレちゃうじゃんか……｣
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作者名：泡沫羊 | 作成日時：2019年9月29日 0時
