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｢ただいまあー｣
誰もいない真っ暗な部屋に意味もなく告げる。
癖のようなものだし、1人は寂しいので言うようにしている。
1つの私なりのルールだ。
結局あの後、先輩に送ってもらい、ショッピ君にも
｢今日はゲーム無理そうっすね……｣
と、酔っ払っている私を見て苦笑いを零された。
そんなに酔っ払ってないんだけどな……。
でも、帰ってきた時に誰もいないのは、やはり寂しいので、お猫様でも飼わせていただきたい。
｢先輩、好きだなあ……｣
と、何気なく呟く。
言って、数秒、頬に熱が溜まっていくのがわかる。
｢ああ……、だめだあ。口に出すと、すぐこれだ。……初心かっ！｣
誰に聞かれてる訳でもないのに、言い訳みたいに、スラスラ出てくる言葉。
誤魔化すみたいに、さっさと寝る支度に取り掛かる。
スーツを脱ぎ、洗濯物を洗濯機の中に突っ込む。
その間も、だって実際かっこよかったし……、なんて、ぶつぶつと文句のように出てくる。
自分のそんな行動にすらいたたまれなくなって、洗濯機の前でしゃがみこんで膝を抱える。
暫くして、視界を上げた時、目に入った髪の毛を指で遊ぶ。
入社当時よりもずっと長くなった髪の毛は、彼の発言を聞いてから切ってない。
｢髪の毛……始めのよりも伸びとんな。……かわいい｣
ちょっとはにかみながら、照れたように言う彼を思い出して、また赤面するのがわかる。
｢重症だ。｣
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作者名：泡沫羊 | 作成日時：2019年9月29日 0時
