1ヶ月桜魔皇国を旅した話三巻 (ページ8)

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桜魔皇国17日目【夜】ページ8

「さて、ここか…」
夜になり、私は黒闇天に教わった村に来た。
どのような魔かは全く分からないので、聞き込みからだった。
村を歩いていると、若い男の人を見つけた。
早速私は男の人に情報を聞いてみた。

「すまない、そこの者」
「…え？ぼ、僕？」
「あぁ、そなただ。私は祓魔師だ、魔が出ると風の噂で聞いたのだが本当か？」
「祓魔師さん？確かにいるし、ずっと困っているし…でも一体誰が依頼を？」

「気まぐれの神が、幼子の願いを聞いたそうだ。行ってやってくれとのことだったからな」
「祓魔師なのに神と？」
「あぁ、私は神と暮らしているからな。祓魔師なのは祓魔師なのだが私も普通の人ではないからな」
「はぁ、そうですか…」

「で、魔の事を教えて欲しいんだが」
「あぁ、村長の所で話そう」
「一理ある、案内してくれ」
「分かりました、こっちです」
男は村長の元に案内してくれた。

「村長、失礼するよ」
「おぉ、どうした…魔が出るから家におれと言っておるのに…」
「そのことなんだけどさ、祓魔師の方が来てくれたんだ」
「何？誰が依頼を？」
「幼子が私の住んでいる神社にお願いしに来てね…そなたがこの村の村長か？」

「あ、あぁ」
「魔のことについて教えて欲しい。必ず祓魔する」
「むぅ…分かった。座るといい」
「感謝する、失礼する」
囲炉裏を囲んで、村長と男は魔のことについて教えてくれた。

「あの魔は、鹿のような見た目をしている。体格もそこそこに大きい。畑を荒らしたり、小屋を破損したり、人に怪我を負わせて、命を落とした者もいる…そろそろやってくる頃だ」
「なるほどな…分かった、ありがとう。行ってくる」
仲良くなれそうに無いなと思い、私はさっさと家を出て外に出た。

そろそろ来ると言うのなら、魔の気配を感じれると思った。
なので少し集中して気配を探った。
すると、確かにこちらに向かってくる魔の気配を感じた。
「こっちか」
私は気配のする方へ走った。
私が来た方向とは逆の、村の出入り口の前に来る。

そこには、こちらをじろりと睨む鹿の魔がいた。
目は光り、立派な角を持っていた。
「村の人々が困っているのだ、悪いが祓魔させて貰うぞ」
私は刀を抜き、魔に向ける。
魔は一声鳴き、私に向かって走ってきた。

「桜月流【斬】望月の月光」
私は向かって来る鹿を斬ろうと振りかぶる。
鹿の魔は巧みにステップして、私を惑わそうとした。
「無駄なこと」
私は確実に魔を斬った。
すると、傷口から黒い煙が溢れた。